薬剤師は処方箋の2・3%で不備を見つけて患者の健康被害を防ぎ、推定2200億円の医療費削減に貢献している-。こんな調査結果を、神村英利福岡大薬学部教授と福岡市の4薬局でつくる研究班が処方箋約3万枚を分析して明らかにした。不備は、処方箋と、お薬手帳の履歴や本人の話を照らし合わせた上で、問題のある処方を医師に確認して訂正する「疑義照会」(薬剤師法24条)で判明。病状が悪化しかねない処方ミスもあった。疑義照会による経済効果を試算した研究は初めて。 研究班は2016年9~11月に4薬局が扱った2万9487枚の処方箋を分析。2・3%に当たる670枚が疑義照会され、種類や量、取り消しなど処方変更は1047件に上った。 変更の内訳は、飲み残しがあり過量の服用を防ぐために処方日数を減らす「日数調整」が534件(51・0%)と過半数を占め、次に健康被害に直結する「薬学的判断」269件(25・7%)が多かった