◆◆◆ 1987年にいち早く「禁煙」にした 八木下さんの道場運営は「みんなを楽しませる」とシンプルだが、マメで粘り強い性格と器用な手先が丁寧なサービスを生み出した。 例えば、オープン5年目から始め、道場を閉鎖するまで発行した、週刊の「八将タイムス」。通算で1570号を超えた。道場の様子、2、3カ月かけて行うリーグ戦の途中経過をこまめに伝えれば、お客さんの来る回数が増える。手書きでやっていたので、腱鞘炎になったこともあった。 バブルの終わった頃はよい物件がなく、工場の跡地で鉄骨がむき出しの場所で営業したこともあった。1987年10月にオープンした最後の移転先は、雑居ビルの3階で室内が26坪と広い。そして、これを機に道場内の禁煙を決断する。女性や子どもが来やすいようにするためだが、当時の主流客は男性。将棋は手持ち無沙汰になりやすく、格好の時間つぶしになる煙草を禁止にすることは、男性客の売り上げ