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ブックマーク / deepbluedragon.hatenadiary.com (29)

  • ベイズ脳のサンプリング説を扱った論文を紹介してみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    最近、ある認知科学の論文を読んでいたら、このような文章に出会った。 広く知られるように近似ベイズ推論において変分推論とマルコフ連鎖モンテカルロ法は二つの代表的な理論であるが,今のところ集合的予測符号化の数理モデルはマルコフ連鎖モンテカルロ法に基づいてしか理論化されていないことになる.しかし,集合的予測符号化を変分推論の視点から定式化することが不可能であると示されたわけでなく,十分に可能性のある方向性であろう. 谷口忠大 「集合的予測符号化に基づく言語と認知のダイナミクス: 記号創発ロボティクスの新展開に向けて」p.200より これはベイズ推論をする上で、自由エネルギー原理が用いる変分法と集合的予測符号化が用いるサンプリング法とで、近似計算法が異なることに対して、統合可能性について述べた部分だ。これを読んで、ベイズ脳について前に書いた記事を思い出した。 ベイズ脳は認知バイアスを説明できるのか

    ベイズ脳のサンプリング説を扱った論文を紹介してみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • どこで哲学者チャーマーズは日和ったのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    ここ最近、私はクオリアや強い人工知能についての未だによくある誤解を扱ったブログ記事を書く予定だった。しかし、次にリンクした哲学者チャーマーズが参加したトークセッションについての記事を読んで書く気を失ってしまった。 AIはいずれ“哲学的ゾンビ”ではなくなる──WIRED Futuresで語られた2024〜50年のAIと人間 なぜ書く気を失ったか?というと、チャーマーズが来の哲学的な議論とは相容れない日和った発言をしていたことにガッカリしたからだ。記事の元になった動画は見てないので、もしかしたら勘違いがあるかもしれないが、記事を読んだ感じではそれほど大きな勘違いではないと思った。 チャーマーズは意識のハードプロブレムや哲学的ゾンビの提唱で有名になった哲学者だ。この記事でのこれらについての説明は私から見ても間違ってはいないと思う。該当箇所を記事から引用してみる(以下の引用は全てリンクした記事か

    どこで哲学者チャーマーズは日和ったのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • ディスクレシア(読み書き障害)から考える人類進化の謎 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    しばらくここに記事をあげてないが、ブログに書きたいことはなくもなかった。 例えばハイエクとニューラルネットワークの記事を書くつもりで、めぼしい論文からの引用まではした。感覚秩序の話だけ書いても物足りないのでその先も書こうと計画だけはしたが、そこから進まない。ハイエクの前期と後期を結びつける論文に書けるような話を、軽い気持ちでブログに書こうとしたのに無理があった。他にも、主観と客観(または実証主義と構築主義)の話とかギブソン派の話(アフォーダンスは科学ではなく思想の言葉)とか、書きたい話題はあるが書く気が起きてない。 探索と活用のバランスを探る で、今回書こうとする気が起きたのは、この記事を読んだからだ。 ディスクレシアとは、文字の読み書きに関する障害である。これは珍しい障害ではなくて、実は身近な人や有名人がこの障害である可能性は高い。この障害の人は、学校では苦労することも多いが、社会に出る

    ディスクレシア(読み書き障害)から考える人類進化の謎 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 認知科学における計算主義を方法論的な視点から擁護してみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    自分は二十数年前の学生時代に(科学としての)認知科学に魅了されて今に至るのだが、その中で認知科学への無理解な批判には何度も会っている。認知科学を一時の流行とか過去の遺物とか言ってた奴らは、欧米の事情を知らないただの無知なので付き合うだけ時間の無駄でしかない。それよりも頻繁に聞いた典型的な批判がある 人間など生物を、機械的な情報システムとして分析するだけでは不十分なのだ。だが、AIばかりかバイオ技術の関係者も同じ罠に陥り、データ至上主義にたどりつく。 西垣通「巻頭言 人間が神になる未来を阻止しよう」 より これは、この前の第三次人工知能ブームの頃の西垣通の言葉だ。しかし、心は計算できないだの、脳は情報処理装置ではない、といった認知科学批判は耳にタコができるほど聞いた。こうした(主に人文学者が繰り返した)批判は、私からすると科学というものを理解してない見当外れな批判にしか聞こえなかった ただし

    認知科学における計算主義を方法論的な視点から擁護してみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 生命と心の連続性を論ずる難しさについて論じてみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    最近、たまたま生命(life)と心の(mind)の連続性についての論文を読んだのだけれど、どちらにも多かれ少なかれガッカリした。生命と心の連続性というとエヴァン・トンプソンの著作が知られているが、どちらの論文にも、トンプソンの著作からの共通の議論みたいのが見られる訳でもなく、それぞれが独自の議論を展開していた どちらの論文の議論も成功してるようには見えなかったが、せっかくなので少しだけ見ていきたい 最近のフリストンの共著論文を濫造しすぎが招いたもの まずは、近年は論文を濫造ぎみのフリストンも共著者の「Examining the Continuity between Life and Mind: Is There a Continuity between Autopoietic Intentionality and Representationality?」だが、これがかなりひどい この論文

    生命と心の連続性を論ずる難しさについて論じてみる - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 科学は泥沼が面白い? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    今年に入ってから、予測処理論への格的な批判が目立ちつつある。前に紹介したMiłkowskibらの論文("Unification by Fiat")や、既に軽く触れたDaniel Williamsの草稿1、まだここでは紹介してない暗い部屋問題を扱った文章での行動主義理論との比較も興味深い。マルコフブランケットを数理的に批判した論文も見かけた。予測誤差最小化で有名なJakob Hohwyでさえ、最終的には擁護するとはいえ、自由エネルギー原理に不可解で曖昧なところがあることを認めている google:Jakob Hohwy Self-supervision, normativity and the free energy principle。 しかし、こうした批判が増えてきていることは予測処理論にとって不幸なことでなく、それだけ注目されてる証拠でもある。ここを乗り越えられれば、予測処理論は科学

    科学は泥沼が面白い? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 愚痴の後で書きたい記事のアイデアだけを書く - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    以下はただの愚痴なので読み飛ばせ 私がこのブログで書くことはだいたい早すぎて、その時点ではあまり理解されない。 俗流クオリア論批判もその流行りのまっただ中で書いたが、当時は学者も含めて誰も批判する人がいないことに呆れていた。ピンカーやマッド・リドレーなどによる合理的楽観主義についてもかなり早くここで指摘した覚えがあるが、ファクトフルネスが出版されることで最近になってやっと認識され始めた感じがする。ニューラルネットワークを統計として論ずるのも日でもよく見るようになったが、それをここで指摘したのもそれなりに早い。 早い段階で(知識や議論として)正しいことを指摘しても誰も褒めてくれないし、それどころか場合によっては不条理な攻撃に合う。私はこのブログを書いても一銭も儲からないし1、承認欲求もそんなにないので知的欲求のある人だけが分かれば十分だと思ってる。それでも、世間の状況やこのブログの読まれな

    愚痴の後で書きたい記事のアイデアだけを書く - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2021/04/04
     プロではないが、私はこのブログは面白く感じる。情報熱力学は関東に優れた研究者が何人かいるのを知っている。分析哲学について日本が弱いというのはそういう認識がなかった。(アメリカが強すぎるのでは)
  • 科学において理論は再現性問題に貢献できるのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    同じような実験結果が再現できるか?を問う再現性問題を論ずる心理学者は日でも増えてきて、私もよくそれらを興味深く読むことがある。 ただ、心理学者の語る再現性問題を読んでいて時々気になるのが、心理学は理論を発展させれば再現性問題は解けるかのような言説を何度も見かけたことだ。残念ながら、この言説は少なくともそのままの形では正しくない。遠回りすれば、理論の発展は再現性問題に貢献できるかもしれないが、それをきちんと論じているのを見たことがない。 当は、私のオリジナルな話はあまりここに書きたくない。一応、英語の関連文献もある程度読んでみたが、直接にこれを論じてるのはなかなか見かけなかった1。私が考える理論の発展と再現性問題の関係は比較的に論理的にシンプルに語ることができるので、それを直接に書いてしまおうと思った。 理論の発展は再現性問題に直接には貢献しない 再現性問題とは、ある仮説を検証する実験の

    科学において理論は再現性問題に貢献できるのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2021/03/15
     なるほど
  • フリストンブランケットはどんな科学モデルなのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    論文「皇帝の新しいマルコフ織物」 今回、ある程度突っ込んで紹介したいのは、次の論文だ。 google:Jelle Bruineberg Krzysztof Dolega Joe Dewhurst Manuel Baltieri The Emperor’s New Markov Blankets 論文のタイトルは、おそらくペンローズ「皇帝の新しい心」からのもじりだと思う(元々のもじり元があるのかもしれないが私はよく知らない)。共著者に私がここで2010年台のベスト論文に選んだ学者もいたので期待してたが、実際に中身を見てみるとなかなか面白い。 マルコフブランケットとは? この論文では、フリストンの自由エネルギー原理で用いられているマルコフブランケットを検討している。マルコフブランケットとは、ベイジアンネットワークの一種で、物事同士の確率的な関係をつなげて並べたものだ。そのネットワークの図式化が

    フリストンブランケットはどんな科学モデルなのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2021/03/07
     「統計学を哲学する」をcritical readingしていますが、そこで出てくる頻度主義の認識論と共通する考え方だというのがわかります。
  • 郡司ペギオ幸夫と宮台真司の対談からのとりとめのない連想 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    この記事は、(私にしては)全体的にとりとめがない文章なので、そこを承知の上でお読みください。 郡司ペギオ幸夫と宮台真司の対談を読んだのだけれど、一応面白くは読めたけど、認知科学関連に関してはまぁ突っ込みどころが満載であった。素直にはお薦めしにくい。 宮台真司に関しては、私は若い頃のキレキレの宮台は好きだったけど、若者が劣化したとかいう(根拠のない)古代からある凡庸な年寄りの繰り言を近年に繰り返すようになってからは期待しなくなった。とはいえ、日の論壇的なレベルが下がったので、相対的にはまだマシなのは皮肉。宮台真司の学問的な話は眉唾で読むぐらいがちょうどいい。 郡司ペギオ幸夫は、かなり前に読んだ事があって何言ってるか訳が分からないので、それから無視するを決め込んでいる。今回、この対談を読んで、ペギオは現代思想的な関心があるのだと分かったのは収穫。もう科学の振りはやめてしまえば?…とこの対談を

    郡司ペギオ幸夫と宮台真司の対談からのとりとめのない連想 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 統計について勘違いしやすい注意点を並べてみた(私家版) - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    この前、ツイッター上で統計に主義はいらないか?でもめてるのを見た。結果としては大した議論にはならなかったのだが、実はそれと同じ内容を日の学者が主張しているのを既に見ていて、違和感はあった。海外の学者がそんな主張をしているのを見たことはない。 統計に主義はいらない論は、日の一部の統計学者が主張している。その学者たちは赤池弘次からの影響を主張しているのも見たことがある。しかし、赤池弘次が確率の解釈や統計のパラダイムを論じている論文1を見つけて読んだら、その影響がどんなものか?かなり怪しく感じた。 正直、日の学者が非標準的な話を注釈なしで平気でするのには慣れてる(仕方ないので海外の学者を参照する)ので、そこは(直してはほしいが)あまり気にしてない。しかし、統計に関しては海外も含めてそもそも整理されていない所が多すぎる。 統計について私が気づいた注意点 という訳で、私が今のところ気づいた統計

    統計について勘違いしやすい注意点を並べてみた(私家版) - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2020/11/06
    昔々神奈川県で働いていたので赤池先生のお名前だけは聞いていたが、先生の偉さがわかってきたのはほんのこの3年くらいだ。
  • 自由エネルギー原理が正しいときの奇跡に気づく - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    この前の統一理論としての予測処理理論を批判する論文を読んで以来、疑惑の種が私の中に蒔かれてしまった。その後もいくつか関連記事を読んでるけど、あれ?これは?と言った疑問部分が目に付きやすくなってる。 予測処理理論の関連理論の間の関係がよく分からない 最近、予測処理理論の核概念であるActive inference(能動的推論)を主題にした博士論文を眺めた。体は数理的分析なのだが、その導入となる背景知識の章を読んでたら、論文タイトルに含まれる4e認知の説明がぬるいのにもあきれたが、予測処理関連を含めその他の説明も私には十分に公正なものに思えなかった1。 その論文を読んでいてあらためて感じたが、そもそも予測処理理論の関連した理論(予測符号化とかベイズ脳仮説とか自由エネルギー原理とか)との関係がいまいち理解できない。 でなくとも同じくベイジアンが関連した研究である、GriffithsとTenen

    自由エネルギー原理が正しいときの奇跡に気づく - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2020/09/17
     自由エネルギー原理
  • 最近のWIREDのAI記事をお勧めしてみる(一部コメント付き) - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    ネットにある日語で読める信頼できる科学記事…というのはお世辞にも多くない。その中でWIREDの翻訳記事は質の高い信頼できる科学的な記事ばかりで当てになる。特に初期の情報が混乱してた中での新型コロナ関連の記事はとても助かった。 WIREDは人工知能(AI)関連の記事も充実していて、読み応えがある。日でブームで出てきたにわかのミーハー野郎と違って、認知科学の知識のある人が書いた記事もよく見かける。 WIREDのAIについての短期連載はお勧めしておく そこでまずは、最近まで短期で連載してた人工知能の連続記事をがお勧めなので、全部リンクしておきます。各記事にコメントしたい欲求にもかられるが、ここでは抑える。 人工知能は常識を身につけられるか? もう一つのお勧めは、この短期連載の直後にWIREDに掲載された記事。これまでのAI研究の内実を凝縮した記事で、ともかくこれをお勧めとコメントをしたくてこ

    最近のWIREDのAI記事をお勧めしてみる(一部コメント付き) - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2020/08/24
     構成主義アプローチ コア知識アプローチ
  • 科学的分析の道具としてのニューラルネットワークを勝手に考えてみる(追記つき) - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    しばらくの間、このブログが放置状態になっているのは気になっていた。前に触れた、アブダクションとIBE(最良の説明への推論)との関係については、関連論文からめぼしい部分を見つけて引用のためにそれを翻訳したりと、準備は進めているがまだ記事を書く段階には至っていない。この辺りについては日語で読める解説があまりないようなので、あれば便利なので記事にしておきたい気もするが、それなりにちゃんと書こうとすると案外大変。まぁ、無理せずマイペースでやっていきます。 私は同時並行的にあちこちに関心が移るが、ここに書けるほどのものは今はない。過去に遡ればいろいろなくもないが、わざわざ書こうとする気が起こるテーマがある訳でもない。そこで今回は、ネットや論文でここのところ見て気になったテーマを、面倒なのでサイトや文献への参照なしで書きます。気になる人は自分で調べて確認してください。 ニューラルネットワークをどう使

    科学的分析の道具としてのニューラルネットワークを勝手に考えてみる(追記つき) - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
    tnakamr
    tnakamr 2020/07/13
    ニューラルネットワーク
  • ■ - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    認知科学そのものについては、何をどこから記事に書けばよいのやら途方に暮れつつあり、どうも書く気が起こらない。そもそも最近は認知科学そのものよりも別のところに興味を持ってしまい、その内容を自分のための整理とメモも兼ねて記事に書いてもいいかな〜と思う一方、それを公開してどうする感もなくもない。 学習機関における統計力学の位置 一つは、まだアイデアの域はそれほど超えないが、学習機関における統計力学の話題がある。 ニューラルネットワークや自由エネルギー原理のように統計力学の考え方が生物や機械の学習機関に適用されている。しかし、もし学習機関に文字通りに統計力学が当てはまるなら、もともと統計力学が適用されている外部の物理的な環境との差がなくなってしまう。 もちろん生物と環境には振る舞いに違いが観察されるので、どこかに問題があるはずだ。それは学習機関は文字通りの統計力学そのものが当てはまるのではないこと

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  • 統計的因果推論を考え方から理解してみる(未完) - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    途中まで書いて力尽きた記事を勿体無いので公開。以下もここと同じリスト形式内の文はすべて追記として後から付け加えたもの 相変わらず統計の勉強はずっと続けているが、統計的因果推論もその一つだ。私は、自分も教えられた心理学の標準的な統計の知識が間違っていることを知って以来、統計は論理的に理解できるのだと目覚めてしまい、統計の勉強が楽しい。 私の場合は、他の人と違って統計のテクニカルな部分よりもその統計的な考え方の方に興味を持っている。ベイジアンについてはまだ分からないことが多いが、統計的因果推論については理解の目処が多少ついてきたので、半ば自分向けのメモとしてこの記事を書くことにした。なので、あまり真に受けず軽い気持ちで読んでください。 因果推論とは何か? 因果推論とは、特定の要因間に因果関係があるかを証拠から推測することだ。 例えば、あるダイエット法に効果があるか知りたければ、そのダイエット

    統計的因果推論を考え方から理解してみる(未完) - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • ■ - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    2010年代に入ってからしばらく経ってからだと思うのだが、はてなハイクにこれからの心の科学(認知科学)で重要となる研究テーマを予測した覚えがある。確かそれは脳の系統発生と個体発生がこれから(2010年代に)心の科学的研究で推し進められるべきだと書いた気がする。 2010年代の認知科学への予測の答え合わせ そう思った理由はたしかこんな感じだ。それまでの00年代には進化心理学と認知神経科学(脳イメージング)が流行っていた。しかし、そのブームも行くとこまで行き着いたら行き詰まるだろう。なら、次に認知科学的に重視されるべき研究領域はなんだろうかと考えた。同じく進化論でも進化心理学が適応論を強調していたのに対して、これからは系統発生に注目されて色んな動物の認知(心)が研究されるだろうと予測した。さらに、脳の研究は流行っているが、これからは脳の発達的研究が未知の領域として経験的に研究可能になるだろうと

    ■ - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 2010年代に私が感激した認知科学の哲学論文BEST3 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    もう2019年も終わるということで、2019年の認知科学を振り返ろうとする記事を書く計画は立ててみた。しかし、去年までの人工知能ブームが収まった今年は特にこれといった特徴を思いつくこともない。もしかしたらあったかもしれないが私には分からない。predctive proessingやradical enactivismは相変わらず話題にはなっているが、これは別に今年には始まった話ではない。 そこで今年は2010年代も終わりでもあるということで、2010年代の認知科学を振り返りたいと思う。ただ、道徳心理学を自動運転の議論に応用するが流行ったね!みたいに一般的に振り返っても私にはあまり面白くない。そこで、これまで紹介するのを躊躇っていた2010年代に読んで衝撃を受けた認知科学に哲学的にアプローチした英語の論文の私的なベスト3を書いてみたいと思う。すべてネットで手に入る論文なので興味の出た人は自分

    2010年代に私が感激した認知科学の哲学論文BEST3 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 心理学評論が事前登録制はじめるってよ!でもねぇ〜 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    心理学評論のプレプリントで見たけど、追試だけ事前登録制を適用するらしい。心理学で騒がれている再現性問題については、今年よいが翻訳されたのでそれが読まれれば問題ないだろう…と思っていたがどうもそうもいかなそうだ。 そもそも心理学評論がレビュー論文が中心でオリジナル論文はあまり掲載しない学術誌であること(そもそも事前登録制は必要ないのでは?)は脇に置くと、何が分かってないって、追試が掲載されない問題と事前登録制で解決されるべきHARKingの問題が別々の問題なことが分かってないことだ。 HARKingは追試が相手にされていなかったこれまでの心理学研究で主に起こった問題だ。要するに、追試とかでない普通の心理学研究でこそHARKingが起こりやすいのだ。むしろ追試はするべき実験が前もって定まっているので、HARKingは却って起こりにくいはずだ。どうも追試の問題とHARKingの問題が混同されて

    心理学評論が事前登録制はじめるってよ!でもねぇ〜 - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~
  • 4E認知は仲良しごっこのウソお友達グループだったのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~

    認知科学では二十世紀の末頃(特に80年代から90年代まで)に、主流(特に古典的計算主義)に対抗する動きとして身体化論の流れが様々な形で起こった。それは二十一世紀にも受け継がれて、主要な概念であるembodied,embedded, extended, enactiveから頭文字を取って4E認知と呼ばれて議論されるようになった。しかし、4E認知の諸概念は実はお互いに相容れない所もあるのではないかと、当の支持者も含めて疑われるようになった。 疑惑の前触れ、拡張と埋め込み 4E認知の諸概念は二十世紀の段階で既に提出されていた用語を寄せ集めただけだが、これらを同じ頭文字としてひとまとめにしたのは確かによくできている。いつからこう言われ始めたのか私にはよく分からないが、実は4e認知の用語が広まる前に既に不穏な空気は醸し出されていた。それはRupertによる拡張された心(extended mind)と

    4E認知は仲良しごっこのウソお友達グループだったのか? - 蒼龍のタワゴト~認知科学とか哲学とか~