なぜ若者は会社を辞めるのか。リクルートワークス研究所の古屋星斗さんは「転職は『不満型』から『不安型』へ変わっている。2010年代以降に進んだ働き方改革で、職場環境の不満は改善した。そのかわり、成長を実感できない環境に不安を感じるようになっている」という――。 ※本稿は、古屋星斗『ゆるい職場―若者の不安の知られざる理由』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。 職場環境は圧倒的に改善されている 2010年代後半、職場の運営に関わる法令(本稿では「職場運営法」と呼ぶ)は改善を重ねてきた。 例えば、2015年に施行された若者雇用促進法。これは、新卒者を募集する企業に幅広い情報提供を事実上義務付けた法律である。自社の残業時間平均や有給休暇取得日数、早期離職率などがその項目だ。 2019年には働き方改革関連法により労働時間の上限規制が施行、さらに2020年にはパワハラ防止法(改正労働施策総合推