第16回 笑いの次に来るもの(5) 笑いに関する考察が、いつの間にか潜在的に日本を支配するヤンキー的価値観や、その対立項として現れたオタクの起源へと滑っていったけれど、結局考えているのは、現在自分が感じるこの国の(だけじゃないかもしれない)制度や風潮がもたらす抑圧から、いかに自由になるかである。 ●「Hentai」の勝機 前回紹介したメタバースや、そこに美少女として転生するオッサンたちも、自由を求める逃避のストーリー上にあると言える。自由の漂着先が徹底管理されたメタバースということ自体が、タチの悪いブラックジョークに思えなくもないけれど、少なくとも、そこでは現実世界で自分たちを縛るセクシャリティやルッキズムからは解放される。 メタバースで価値あるものは、富でも階級でもなく「いいね」で換算さえる共感指数だけど、そればかりを求めるのでは窮屈な現実と変わらない。せっかく性と外見の自由を保証された