<30万部超えの『1分で話せ』は、「伝える技術」の鍵として「根拠」を提示することの重要性を説く。だが、同書が伝授する「左脳」と「右脳」に働きかけるプレゼン技術には、脳科学の知見など「根拠」が示されていない> 今回のダメ本 『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』 伊藤羊一 著 SBクリエイティブ 衝撃を受けている。昨年の発売以来30万部超えのベストセラーとなり、かの孫正義が大絶賛したというプレゼン技術を伝授するこの本に、「右脳」「左脳」という言葉が無邪気に出てくることに。それがロジック=左脳、感情=右脳という時代遅れの俗説に基づいていることに、である。 著者はのっけから「人は左脳で理解し、右脳で感じて、それでやっと動ける」とか「人を動かすには、『左脳』と『右脳』の両方に働きかけなければなりません」と述べる。帯には「結論+根拠+たとえばで=相手の右脳と左脳を動