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ブックマーク / shinka3.exblog.jp (14)

  • 孫を育てるおばあさんの進化 | 5号館を出て

    もはや今は有名になった「おばあさん仮説」ですが、生殖能力を失った個体の大多数がが例外としてではなく、長く生きるという例はあまりありません。「おばあさん仮説」では、ヒトのおばあさんが娘または息子のお嫁さんが子どもを生み育てるのを助けるという重要な働きを持っていて、息子または娘を通じておばあさんの遺伝子を4分の1受け継いでいる孫の生存を助けることで、自分の遺伝子が存続していくことに貢献することで、十分生物学的(進化学的)に説明可能な現象とされています。 ところがここにちょっとした謎がかくされています。自分の遺伝子を残すためなら、孫を育てるより自分で子どもを生んだほうが一人につき自分の半分の遺伝子を残すことができますので、孫を育てるのを助けるか、もちろん孫育てを助けるよりは大変なのですが自分で子どもを生んで育てるかの間に葛藤が予想されます。 そのあたりがどうなっているのかを実際のフィールドで調査

    孫を育てるおばあさんの進化 | 5号館を出て
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2012/03/11
    「閉経してしまえば、生物学的にもはや子どもを生み育てることはできませんので、娘の子どもあるいは息子のお嫁さんの子どもを育てることで自分の遺伝子の存続を図るというのは生物学的に理にかなったこと」
  • うつ病は免疫システムの副産物か? | 5号館を出て

    というタイトルのサイエンスニュースが出ていました。ひさびさのダーウィン医学です。 Science Daily: Science News Depression: An Evolutionary Byproduct of Immune System? (C) photoXpress うつ病はアメリカ成人の10%に出るという統計もありますし、遺伝的素因も言われていますので、ダーウィン医学的に考えると、進化的な有利性があるはずだということになります。ただし、うつ病は明らかに人間関係を悪くするので社会的有利性ではなく、動物学的な生存や繁殖の有利性を考える必要がありそうです。 というわけで、分子医学的検証をしてダーウィン医学的仮説を提唱した論文が出ました。 Hypothesis Molecular Psychiatry advance online publication 31 January 20

    うつ病は免疫システムの副産物か? | 5号館を出て
  • 発電所で起こっていることは隠せても放射線は隠せない | 5号館を出て

    原子力発電所から漏れ出る放射性物質は、たとえ「微量」でもすぐに全国あるいは全世界レベルで検出されるようになるので、たとえ地上も空も立ち入り禁止区域になっている発電所で起こっていることがわからなくても、発電所で放射能漏れを伴う深刻な事態が起こった場合にはそれを隠すことはできません。逆に、発電所で起こっていることが発表されないにもかかわらず、全国レベルで観測される放射線レベルの異常があった場合には、逆に発表がためらわれるほどの状況であることがすぐに露呈してしまいます。 おそらく今朝(3月21日:注)の未明にそうした事態が起こったのではないかと思われます。 これは、ryugo hayano (@hayano) さんが佐々木、初田、永田、早田さんとともに、文科省の発表したデータを見やすくグラフ化してくださったものです。 3月16日に急激な上昇を示した茨城県で、今日の未明から検出される放射線量がまた

    発電所で起こっていることは隠せても放射線は隠せない | 5号館を出て
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2011/03/22
    ややロジックにアラが(あくまでぱっと見の意見ですよ)。データは嘘はつかないが、人間がデータを早とちりしたり、読み間違えることはあるので、もすこし広域かつ多角的にデータを精査されてはいかがか。
  • 大卒が就職できないのもポスドクが就職できないのも理由はひとつ | 5号館を出て

    世の中の経済活動は、基的にはすべて需給バランスで動いていると考えても良いのではないでしょうか。 大学卒業生がどんどん多くなっているのに、経済状態はとてもどんどん発展しているという状況ではなく、多くの大学卒業生が望むホワイトカラーの就職先はそれほど増えていません。ポスドクのケースも好意的に考えると、文科省はこれからは学卒ではなく修士卒、博士卒、さらにはポスドクを必要とする企業がどんどん増えてくるだろうから、大学院を充実させ、博士ならびにポスドク経験者を大量に生産しておこうと思ったのかもしれません。しかし、増加する学卒を吸収できない程度の経済発展しかしていない状況のもとでは、さらに高学歴を求める企業はやはり増えなかったのです。 それにしても、新聞・テレビがこぞって同じような報道をするのにはやはりうんざりしますね。こちらが朝日新聞に掲載された、いかに今年の大卒予定者の就職内定率が悪いかというグ

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  • 飢えた子の前で科学研究は有効か | 5号館を出て

    「飢えた子の前で文学は有効か」 この言葉に初めて接した時に、人が単なる動物としてのヒトではなく、知性を持った人間であることの意味を考えてみろと言われた気がして、「大学生」になったことを実感した記憶があります。 最近ずっと考えているのが、「飢えた子の前で科学研究は有効か」ということです。 事業仕分け人たちがやろうとしていること、あるいは少なくとも建前として言っていることは、貧困国家である日でその貧困を解決するために、とりあえず税金を使って行う事業のうち、優先順位の低いものを仕分けていくということだと思います。 仕分けられる側が予算を主張するためには、その「論理」に対抗できるだけの「説得力のある理由」が述べられなければなりません。しかも、それがあらかじめ作文されたものではない証拠として、仕分け人と行う真剣勝負のディベートに勝たなければなりません。 全国あるいは全世界にリアルタイムで流されてい

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  • 大学教員と博士後期課程学生の研究時間減少と論文の質低下 | 5号館を出て

    の論文、「質」9位に転落(朝日コム) 日の科学系論文の質の向上が最近10年間頭打ちで、質を示す指標は4位から9位まで落ちたことが学術情報会社「エルゼビア・ジャパン」の調査で分かった。論文の数も2位から5位に転落した。 この指標の意味するところがはっきりしませんので、踊らされたくはないと思うのですが、その指標で比較する限り日が9位に落ちて、後ろに控える「中国は10位のままだが、指標は0.182から0.400に急上昇し、日に迫っている」ということは言えます。 この記事の最後に、この「指標」を出している会社の方のコメントが出ています。 エルゼビア・ジャパンの三木律子代表取締役は「論文の質の向上には数の増加が必要だが、日では増えていない。国立大学の法人化で研究者が雑務に追われ、研究時間が減ったことが影響しているのではないか」と話している。 まあ、そういうこともあるかもしれないと思ってい

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  • カロリー制限をすると病気にならず長生きできるか | 5号館を出て

    これまで、酵母、線虫、ショウジョウバエ、マウスなどいろいろな生物を使った実験で、栄養失調にならないようにしながらカロリー制限をすると寿命が延びるということが示されてきました。 しかし、それがヒトを含む霊長類にも適用できるかどうかを実験で示したものはなかったようです。今日のScience誌に載った論文で、サル(ニホンザルに近い仲間)を使ってカロリー制限をした実験結果が公表されています。このサルの寿命は27年くらいだそうですので、実験も20年以上をかけた長期戦でした。 結論はタイトルどおりです。 Science 10 July 2009: Vol. 325. no. 5937, pp. 201 - 204 DOI: 10.1126/science.1173635 Caloric Restriction Delays Disease Onset and Mortality in Rhesus M

    カロリー制限をすると病気にならず長生きできるか | 5号館を出て
  • 東北大学大学院生の自殺 (とりあえず落ち着いてください) | 5号館を出て

    あまりにも重苦しいので、なかなか書けませんでした。お亡くなりになった方と、ご家族・関係者の方々には心から哀悼の意を表します。 おそらく、あちこちの大学院で似たような事例は起こっているのだと思います。今は、日中で自殺者が増えたまま高止まりしており、さらには中高年の自殺者が増えているので、ある意味であまり目立たなくなっていたのかもしれませんが、昔から感受性の強い大学生・大学院生は自殺へと向きやすい傾向を持った年齢ということで、特に注意を払う必要があるという事情は変わっていないと思います。 その上、院生の増加と国立大学を中心とする法人化のもとで、大学院生の就職競争ばかりではなく、教員の雑務の増加と通常の教育研究予算の度を越えた削減によって、大学の教育研究環境の劣悪化が加わっていますので、ただでさえ折れやすい若者たちが追い詰められやすい環境になっていることは否定できません。 そんな環境の中で、研

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  • 進化の過程で壊れた遺伝子を修復した酵母でビールを造る | 5号館を出て

    北海道では特に夏がビールの季節というわけではなく一年中飲まれているのですが、暑い季節に野外で飲む一杯ももちろん代え難いものです。 ビールを造る時には、まず発芽させた大麦を乾燥させ、粉砕し、麦芽自身の持つ酵素でデンプンが2糖の麦芽糖(マルトース)や3糖のマルトトリオースに分解されたところで、ホップを加え煮沸して酵素の働きをとめたものを作ります。これが、いわゆる麦汁です。この麦汁に酵母を加えて発酵させてビールにします。この時、濃厚な麦汁を使うことができれば、アルコール濃度の高いビールを経済的にしかも廃棄物があまり出さずに作ることが可能になるのだそうです。 ところが、現在多く使われているラガービール酵母は、濃厚な麦汁を発酵させることができないのだそうで、無理に使うと、発酵も遅くなり、さまざまな副産物の含まれたまずいビールになってしまうことが問題とされていました。 この度、フィンランドの研究者が発

    進化の過程で壊れた遺伝子を修復した酵母でビールを造る | 5号館を出て
  • ヒトは遺伝的多様性が高いので近親交配が危険 | 5号館を出て

    オープンアクセス誌の中で、無駄に厳しい査読をしないということで、ある意味で心配もされていたPlosOneに、またおもしろい論文が載りました。 The Role of Inbreeding in the Extinction of a European Royal Dynasty 日語でのニュース報道もあったので、ご覧になった方もいるかもしれません。 スペイン・ハプスブルク家、断絶の原因は「近親婚」か 研究結果 せっかくですので、論文を中心にご紹介してみます。ただし、私は世界史に(も)弱いので、歴史的記述には誤りがあるかもしれませんので、ご指摘願えると幸いです。話の内容は、日でも結構有名な顎と下唇を持ったハプスブルグ家の家系、特に1700年に途絶えたスペイン・ハプスブルグ家のことです。 これは最後のスペイン国王であるカルロス2世で、Wikipediaによると「先端巨大症のため、咀嚼に影響

    ヒトは遺伝的多様性が高いので近親交配が危険 | 5号館を出て
  • ありそうもない化石が掘り出された | 5号館を出て

    動物の化石というと、恐竜を筆頭に脊椎動物の骨の化石やサンゴの骨格や貝殻などのようにカルシウムなどを含む硬い組織だけが(もちろん他の鉱物などに置換されることも多いのですが)保存されるのが普通です。しかしながら、そうした硬い組織を含まないものでも「幸運」が重なると何千万年、何億年も残ることがあります。タコの化石はそうしたものの中でも特に保存されにくいものと考えられており、中生代以前のタコの化石は現在に至るまでたった1例しか報告がありません。しかも、それは100年以上前の1896年のものです。 古生物学の専門誌 Palaeontology の最新号に載った論文には、そんな珍しいはずのタコの化石がレバノンの石灰石の中から一気に5匹分も発見され、そのうち3種が新種として報告されています。9500万年前の地層に埋まっていたこれらのタコは、現存のタコとほとんど同じ吸盤のある8足という姿形をしており、墨

    ありそうもない化石が掘り出された | 5号館を出て
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2009/03/19
    「戦争よりはタコの化石ですね。」← まったくです。
  • 白髪の原因が明らかになった | 5号館を出て

    白髪は典型的な老化症状のひとつですが、特に健康被害があるわけではありませんし、洋の東西を問わず知恵の象徴と考えられていることや、最近の染色技術の発達で比較的簡単に隠すことができることから、それほど深刻に語られることがないものです。しかし、もしもそれを阻止する方法が発見されれば、それは老化防止とつながるという期待も持たれていますので、話題になることも多いと思います。 一昨日出た論文で、白髪の原因は過酸化水素(H2O2)だということが示されました。 Senile hair graying: H2O2-mediated oxidative stress affects human hair color by blunting methionine sulfoxide repair The FASEB Journal article fj.08-125435. Published online F

    白髪の原因が明らかになった | 5号館を出て
  • カエルの電車ごっこ | 5号館を出て

    アフリカツメガエルを飼育している人にはおなじみの光景かもしれません。オスとメスと隔離して飼育していると、オスの水槽では時々おもしろいことが起こります。 オスが発情が最高潮に達すると、相手がメスでなくても抱きつくことが良くあります。これはオスがオスに抱きついたペアです。 一見、普通のオスメスのペアのように見えますが、抱きつかれている方の手のひらの内側が真っ黒になっているので、オスだということがわかります。 まあ、これくらいなら特にどうということはないのですが、時にはこんな電車ごっこになってしまいます。

    カエルの電車ごっこ | 5号館を出て
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2009/01/27
    なごんだ
  • 脳のイメージング研究が炎上中 | 5号館を出て

    これは2チャンネルではなく、NatureNewsに出た記事のタイトルです。 Brain imaging studies under fire 最近fMRI(機能的核磁気共鳴イメージングでいいのかな?)を使った、脳の機能解析が驚くほど盛んになってきています。最近の例で言えば、fMRIの解析から脳が「見ているもの」を画像化して我々を驚かせてくれました。 Visual Image Reconstruction from Human Brain Activity using a Combination of Multiscale Local Image Decoders こういう研究であれば、あまり疑う余地もなくすなおにスゴイと思えるのですが、嫉妬や不公平感を感じる脳の部域などが、fMRIの活動部域との関連でいとも簡単に同定されてしまっているのではないかと思っているのは、何も私だけではなかったよう

    脳のイメージング研究が炎上中 | 5号館を出て
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2009/01/15
    統計はほんとにモメるんだよね…。
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