パワハラ・セクハラ横行の「ガタピシ」企業に欠けたもの 2019年は、組織のパワーハラスメントやセクシャルハラスメントに関する不祥事が相次いだ。こうした問題にどう向き合えばいいのか。今回はお釈迦さまの言葉をもとにして、パワハラ・セクハラの解決法を紹介していきたいと思う。 パワハラ・セクハラが横行する企業は、労働者本位の健全な組織とは言えない。いわばブラック企業だ。そうした企業では社内全体の人間関係もギスギスしていく。いずれ組織全体が傾くのも時間の問題だろう。 何事も円滑にいかないことを、家屋の建具の不具合になぞらえて「ガタピシ」と言うことがある。今では木の建具が少なくなっているので、ガタピシという言葉は死語に近いかもしれないが、昔はよく「ふすまが、ガタピシしてきた」などと言ったものだ。あなたの会社はガタピシしていないだろうか。 ガタガタ、ピシピシという擬音語から「ガタピシ」が生まれたと思う人
1.愛着についての歴史 19世紀ぐらいの欧米では、親のいない乳児を育てる乳児院において、乳児の死亡率の高さが社会問題となっていました。衛生面や設備面などを向上させることで、多少なりとも死亡率は改善しましたが、十分ではありませんでした。また、死亡せずに成長したとしても、発達が遅れていたり、情緒的に不安定だったりすることが往々にありました。 こうした問題について研究を重ねることで、物理的な衛生や設備ではなく、世話をする人がどれだけ乳児と接触したのかが、その後の死亡率や発達が遅れる問題に関係していることがわかってきました。 こうしたことが20世紀の初期から中期にかけて取り組まれたことでした。この課題を研究する中で愛着ということが人間としての発達に非常に重要であることが分かってきました。そして、それと同時に、愛着が欠けることがどれほど人間の成長に有害であるかも分かってきました。 愛着対象がいないこ
1.愛着障害の6つの特徴 (1)愛着障害の対人関係 人は人との関係の中でしか生きていくことができません。どれだけ人との接触を避けようとしても、ゼロにすることは不可能でしょう。対人関係にはコミュニケーションという側面があります。コミュニケーションを通して、言語的な交流と同時に非言語的な交流も行います。そして、その中には思いや気持ち、感情というものが多かれ少なかれ含まれます。 愛着障害の方は対人関係の中で良くも悪くも強い思いを含ませてしまいます。強い好意、理想、愛情、親しみなどを向けると同時に、反対に怒り、不満、憎しみ、嫉妬、恨み、寂しい思いなどといった否定的な感情も感じます。さらには、不安や恐怖、恐れ、苦痛などもあるかもしれません。 そうした強い感情があると冷静な対人関係を営むことができず、極端な距離の取り方をした対人関係になってしまいます。相手に対して過度にしがみついてしまったり、反対に極
出典:http://www.photo-ac.com 「パーソナリティ障害」は以前「人格障害」や「性格障害」とも呼ばれていましたが、偏見的ニュアンスが強いことから現在の名称に変更されました。英語では「Personality Disorders (PD)」と呼ばれます。パーソナリティ障害は、社会的に順応しない著しく偏った行動、物事の捉え方、内的経験を特徴とします。「内的経験」とは、その人なりの考え方、感情、思い、気持ち、信念を持つことです。 「パーソナリティ」とは、その人の、物事の見方、反応の仕方、考え方、人とのかかわり方、振る舞い方などのその人らしさを形成しているもの、いわゆる"人格"です。このパーソナリティが社会に順応できず、精神的な苦痛を感じたり、自分自身であることにつらさを感じることが「パーソナリティ障害」なのです。 パーソナリティ障害の症状 パーソナリティ障害の診断分類として、世界
社会的(語用論的)コミュニケーション症とはあまり聞いたことのない疾患かもしれません。実はこれはDSM-5になって新たに導入された疾患です。ごくごく簡単に言えば自閉スペクトラム症の診断基準のうち、明確な「こだわり」が見られない様相を表しています。 その診断基準から抜粋すれば A 言語的および非言語的なコミュニケーションコミュニケーションの社会的使用における持続的な困難さで、以下のうちすべてによって明らかになる。 (1)社会的状況に適切な様式で、挨拶や情報を共有するといった社会的な目的でコミュニケーションを用いることの欠陥 (2)遊び場と教室での喋り方を変える、相手が大人か子供かで話し方を変える、過度に堅苦しい言葉を避けるなど、状況や聞き手の要求に合わせてコミュニケーションを変える能力の障害 (3)会話で相づちを打つ、誤解されたときに言い換える、相互関係を調整するための言語的および非言語的な合
世界で最も知能が優れていたと言われるこの男性は、IQが250から300という桁外れの頭脳を持っていました。ウィリアム・ジェームズ・サイディス氏は人間計算機であり、言語の達人でした。あまりに頭が良かったので、きっと素晴らしい事を成すだろうと周囲からの期待は非常に大きいものでした。ですが彼は解決することのない問題を常に抱えており、残念なことに若くして亡くなっています。 生後18か月でニューヨークタイムズを読む子供を想像出来ますか? 彼は8歳で、フランス語、ドイツ語、ロシア語、トルコ語、アルメニア語、ラテン語、そしてもちろん母国語である英語を完全に習得しています。また9歳の時には「ヴェンダーグッド語」という言語を自分で発明していますが、これは言語学者によって研究され、正確で完璧、素晴らしい言語だと称されました。 ウイリアム・ジェームズ・サイディスは、ユダヤ系₋ロシア系移民の両親のもと、1898年
解離性障害、身体表現性障害は、かつては女性に多いと思われていたので、子宮を意味するヒステリーと呼ばれていたことがありました。精神分析を創始したジークムント・フロイトは、ジャン・マルタン・シャルコーのもとで催眠によるヒステリー症状の治療を学んでいます。シャルコーは、パリのサルペトリエール病院において、患者の運動麻痺、感覚麻痺、痙攣、健忘に注目しており、ヒステリー患者は、絶え間ない暴力やレイプを逃れてきた若い女性でもありました。フロイトは、シャルコーのもとで学んだ後、ヨーゼフ・ブロイアーとの共同による「ヒステリーの研究」を行い、ヒステリーの病因として心的外傷やPTSDが発見されていく過程を追う時期がありました。フロイトは、ヒステリー患者が無意識の中へ抑圧した内容を、身体症状として出すのではなく、思い起こして言語化することによって、症状を取り去ることができるという治療法に辿り着きました。 解離の
アタッチメントと精神分析を主体にしてつくられたツールが、MBT(メンタライゼーションに基づく治療:Mentalization Based Treatment)というもので、最近注目されています。このアプローチは精神分析家のFonagy(フォナギー)()とBateman(ベイトマン)()が提唱しており、最初は境界性パーソナリティ障害のための治療法として、でした。そこから守備範囲を広げていったのです。そのため、狭義のMBTはこの境界性パーソナリティ障害の治療法のひとつですが、広義のMBTはメンタライジングというのを重視した治療法全体を指すようで、ここでは後者に触れます。この方法の目標はメンタライジング能力を高めることですが、ではこのメンタライジングとは何でしょうか? それは「こころでこころを思うこと(holding mind in mind)」と定義されます。自分のこころの中で、自分と他者のこ
不登校状態とは生命の脳の疲労であるため生活エネルギーがなくなってしまっており、自らを守るためには、じっと動かず回復を待つこと、すなわち引きこもりが必要となる。 …不登校は「心理的な問題」と漠然としてつかみようもない解釈がなされつづけてきたが、実際には中枢神経機能障害、ホルモン分泌機能障害、免疫機能障害の三大障害を伴うものであり、人生最大の危機に発展する例があることがわかってきた。(p3-5) 子どもの不登校、そして小児慢性疲労症候群(CCFS)の専門家である三池輝久先生は、学校を捨ててみよう!―子どもの脳は疲れはてている (講談社プラスアルファ新書)でこう書いています。 本来、活力に満ちあふれているはずの学生時代に、想像を絶する慢性疲労とエネルギーの枯渇に閉じ込められ、まったく身動きが取れなくなり、わけもわからないままに不登校、引きこもり、そして「人生最大の危機」へと発展していく。 いった
アタッチメント理論では、養育者(多くの場合、親)に対する幼児の行動パターンを4つに分類します。そのうち、養育者に安心して接近する安心型アタッチメント(secure attachment)、不安や葛藤を表現する傾向の強い両価型アタッチメント(ambivalent attachment)、そして無関心を装う回避型アタッチメント(avoidant attachment)は、いずれも養育者に対する態度に安定したパターンが観察されます。それに対して、無秩序型アタッチメント(disorganized attachment)は、一貫したパターンを形成することができなかった子どもの行動、つまり「秩序が無い」アタッチメントパターンを指します。 アタッチメント理論によると、この無秩序型のアタッチメント・パターンが形成される理由は、生来備わっている二つの行動システム間の葛藤にあるとされます。二つの行動システムと
ジョン・ボウルビーが初めて提唱したアタッチメント理論とその理論の展開について、私たちの生活への意味合いを意識しながら説明しています。
愛着回避と愛着不安がいずれも強い愛着スタイルは、恐れ・回避型(fearful-avoidant)と呼ばれる。 対人関係を避けて、ひきこもろうとする人間嫌いの面と、人の反応に敏感で、見捨てられ不安が強い面の両方を抱えているため、対人関係はより錯綜し、不安定なものになりやすい。(p236) これは、愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)という本で説明されている、ある特殊なタイプの愛着スタイルを持つ人たちの感じ方です。 わたしたちは一般に、世の中には、内向的な人と外向的な人がいることを知っています。内向的な人は人づきあいが苦手で引きこもりがちな人たちであり、外向的に人は逆に一人でいるのが寂しく、どんどん交友を広げていきます。 ところが、中には外向的とも内向的とも言いがたい、矛盾した振る舞いをみせる人たちがいます。人づきあいがうまく、気を回すのが得意で、初対面の人とも親しげに振る舞える
<記事執筆ポリシー> ・公認心理師が長年の臨床経験やクライアントの体験を元に(特に愛着やトラウマ臨床の視点から)記述、解説、ポイント提示を行っています。 ・管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考にしています。 ・可能な限り最新の知見の更新に努めています。 もくじ ・1.家族の機能とはなにか?機能不全家族とはなにか?を理解する ・2.家族の機能不全、家族の問題に気づく ・3.機能不全家族、家族の問題を解決するための7つのポイント →関連する記事はこちら ▶「機能不全家族とはなにか?家族の悩みの原因と特徴」 ▶「「愛着障害(アタッチメント障害)」とは何か?その特徴と症状」 ▶「ハラスメント(モラハラ)とは何か?~原因と特徴」 家族の問題として自覚できている悩みを解決するにとどまらず、家族の問題に気がつくこと、家族の影響を相対化することは、悩み全般の解決には必須要件と言えるものです。家族ほど
「心療内科に行ったら終わり。薬漬けにされる」 「何年も通っているのに治らない。薬も増え続けている」 「このまま働かなくていいのか。治療が変わる気配もない」……。 うつなどの気分障害は長期化しやすく、副作用のために何度も薬を変えねばならなかったり、慢性化すると退職せざるを得なかったりします。 通院が長期に渡るのはなぜなのか、根本的な治療のためには何をすればいいのか、最新の心身医学を踏まえて説明します。 最新のメンタル疾患の傾向 9月16日に、2021年までの精神疾患による死者数が更新されました(厚労省調べ)※1。 精神疾患の治療中に亡くなる方は、年々増え続けています。 また、「自殺者」は遺書があった者と定義され、遺書がない(けれど自殺したと思われる)者は、原因不明の死者として計数されるようになりました。 2020年の原因不明の死者数は17万にも上り、その半数が自殺者であるとも言われています。
(改訂:境界性パーソナリティ障害についての最新の情報については下記リンクからダウンロードください。) ダウンロード:治療のための境界性パーソナリティ障害2019 (PDF, ファイルサイズ:1MB) この記事では、境界性パーソナリティ障害、AC(アダルトチルドレン)などの情緒が不安定な症状をお持ちの方を支える、身近なご家族やパートナー、友人のためのものです。どのように対応すれば良いのかを簡単に紹介します。 柔軟に、一貫した態度を取る まず一番大切なことは、あなたの言動に一貫性を持たせることです。どんなことがあっても揺るがないこと。これは頑固ということではありません。相手を思いやって、Iメッセージを送り続けるということです。( Iメッセージについては下の③を見てください。) また、守れないような約束は軽々しくしないことです。守れないということで一貫性が崩れます。Iメッセージは自分の気持ちを正
「アイデンティティ(identity:自我同一性・自己同一性)」,「アイデンティティの拡散(identity diffusion,同一性拡散)」 このウェブページでは、「アイデンティティ(identity:自我同一性・自己同一性)」と「アイデンティティの拡散(identity diffusion,同一性拡散)」の用語解説をしています。 アイデンティティとは、『自分は、何者であるのか?』という人間の原初的で根源的な問いかけの答えとしての『自己同一性』のことである。その自分の存在意義の確認にも関わってくる自問に対して毅然と、『私とは、○○であり、自分は、今ここにある自分以外の何者でもない』と応えられる状況を『自己アイデンティティの確立』という。『自分は自分である』という明瞭な自己同一性を安定して保てていれば、将来に対する不安や人生に対する無気力、職業生活に対する混乱を感じる危険性が低くなる。
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