密かに国税当局が新たなターゲットを定めていた。対象は、暗号資産で荒稼ぎし、成り上がろうとした「元・億り人」たち。国税当局はいかにして、その網を狭めているのか。最新動向をリポートする。 【写真】コロナ危機で「巨額の富を築いた人」たちの実名と素顔… 「国税局から指摘された'18年度分の所得の申告漏れ額は約5300万円でした。追徴税額は加算税などを含めて、約3000万円。私の今の年収は300万円ほどですから、一生かかっても完納は不可能です。 毎月わずかずつでも納めるつもりですが、多少残してあった暗号資産も、すでに換金して、息子の学費や自分の引っ越し費用の支払いに充てたので、今ではほとんど残っていません。国税庁が暗号資産の課税ルールを公表した'17年12月に気づいていれば、これほど大変な状況に追い込まれることはなかったのですが……」 こう肩を落とすのは、東海地方で暮らす樋口沙織さん(仮名)。40代