トランプ外交の中軸をなすティラーソン米国務長官の東アジア歴訪は、米国の「過去20年の北朝鮮政策の失敗」を明確にし、ティラーソン外交の存在を内外に印象づけた。これまで長官は大物ビジネスマンとして注目を集めたものの、政権内の影の薄さが心配のタネであった。 国務省で行った就任時の演説以外、一切演説をやらず、筆頭官庁の地位の低下が懸念された。記者の質問に振り向くこともなく、単独会見も応じない。今回の東アジア歴訪でも、長官専用機に同乗する記者団を受け入れなかった。揚げ句に、コロンビア大学のR・ジャービス教授から「最弱の国務長官」という渾名(あだな)までいただいた。 そのティラーソン長官が一転して、歴訪した日韓中で次々に記者会見をこなし、軍事行動を含む「あらゆる選択肢を検討中」と積極策に出た。オバマ前政権の対北政策については「はっきり言おう。戦略的忍耐という政策は終わった」と歯切れがよい。