「8割おじさん」西浦博は「体制内改革派」として真のプロになってほしい 『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!』を読む 今野哲男 編集者・ライター 冬を迎え新年が過ぎて、首都圏を中心にコロナ禍は勢いを増す一方だ。医療崩壊が危惧されるなか、首都圏4都県合同の緊急事態宣言発出要請に、政府も漸く重い腰を上げた。1月2日夜の4知事との面接を、西村康稔経済再生担当相兼新型コロナ対策担当相に託し、黙って公邸を引き揚げた菅首相も、さすがに黙り続けていることができなくなったらしい。 だが、気を許してはならない。経済再生担当大臣が新型コロナ対策担当大臣を兼ねるという理解し難い構図のなかにこそ、政府・自民党・官僚機構が長年進めてきた、単なるコロナ対策には留まらない、歴史的な医療・福祉政策の大筋が見えるからである。要は、経済か医療・福祉かとなった場合、政府の価値判断は一貫して経済(新自由主義的な