矢沢久雄 2進数の0と1しか取り扱えないコンピュータは,小数を表すためにトリッキーな方法を使っています。この方法は,浮動小数形式(ふどうしょうすうてんすうけいしき)と呼ばれ,IEEE(アイ・トリプル・イー,Institute of Electrical and Electronics Engineers=米国電気電子技術者協会)で規定されています。すなわち,トリッキーとはいえ,浮動小数形式が事実上の世界標準なのです。皆さんが,コンピュータのキーボードから3.14のような小数を入力すると,コンピュータの内部では浮動小数形式の情報として表されます。 ●固定小数形式と浮動小数形式 いつものように,まず10進数で小数の表現方法を考えてみましょう。小数とは,小数点を意味するドット(.)を持つ数のことです。当たり前のことですが,図1のようにドットの左側に1以上の数を書き,ドットの右側に1未満の数を書き