将棋世界1991年10月号、内藤國雄九段の連載エッセイ「世間は広い」より。 色々な手紙をいただく。なかにはこんなのもある。地方の女性からで、ある若手棋士をこの人と思い定めたので仲を取り持ってほしいという。返事をしないでいると、今度は「あなたは二人の仲の邪魔をしている」と恨みをこめた手紙がきた。触らぬ神に祟りなしと知らぬ顔をしているが、気持ちのいいものではない。 大学生からも、くる。どういうわけか人生相談的なのが多い。柄にもないことなので辟易するが、頼りにされているかと思うと放ってもおけないような気分になる。 学生のお母さんからだと、息子が将棋に凝って(あるいは音楽に凝って)困る。ちゃんとした仕事につかせるにはどうしたらよいかと、息子の将来を案じる内容だが、本人からだいたい異性の問題と決っている。 どういうわけか将棋の好きな大学生は女の子にもてないようである。気が弱くて優しくて、まあ言えば私