ドゥルーズの大著『差異と反復』を読了しました。二〇歳代の頃、単行本で出ていたものを図書館から借りて読んで以来、文庫版での再読です。若い頃、ほとんど書いてある内容を理解できいないまま、この難解な大著のコンセプトを引用しまくっていました。「反復が微細なズレを生み、その差異が新しいものの創造につながる」といったコンセプトです。しかし、再読してみると、ドゥルーズは、差異と反復を、あらゆる物事や概念の根源として位置づけており、本書は、それまで主流だった同一性を重視する哲学(思想)を根本から転倒しようという、実にラジカルな試みをしていることがよくわかりました。先人の有名な哲学者(思想家)の考え方に対する批判的検討もふんだんに盛り込まれています。初読から30年近く経ても相変わらず超難解な作品ですが、私の頭脳で理解できたと思われる概要を以下に記します。 ドゥルーズによれば、全ての前提として、全てに先立って