エコノミストは演奏家のようなところがある。経済データという譜面に従って奏でなければならないが、曲の解釈がとても大事である。「あなたは、どう弾きたい?」というのが問われるのだ。演奏家と同様、これを明瞭にイメージできるかが、非凡と平凡を分かつように思える。 ……… 2月鉱工業生産について、第一生命の新家義貴さんの分析は、「ネガティブサプライズ、内容も悪い」(3/30)と小気味良かった。反動減は予想されていたし、データ的には、「前月と均せば、緩やかに回復」としてもおかしくないのに、評価は鮮明だ。筆者なんぞは、「悪い数字が出たなぁ」と思いつつも、気力が薄れかかっていて、ビビットに反応できなかったよ。 新家さんは、高めの成長イメージを持ち、そこにデータを位置づけるから、反応できたと思う。新家さんが予測力に優れているのは、潮目を読もうと努力しているからだろう。それには、経済がどういう方向に進んでいるか