タグ

ブックマーク / www.kanzaki.com (8)

  • ブラームス:ドイツ・レクイエムの歌詞と音楽

    ブラームスの合唱+管弦楽の大傑作、ドイツ・レクイエムを演奏する機会に、その曲の構成と歌詞について掘り下げて調べたことをまとめたものです。ブラームス独自の人生観(あるいは死生観)によって編纂された歌詞をじっくり読むと、曲が一層味わい深くなるのではないかと思います。 曲の概要 曲名 ドイツ・レクイエム 作品45 Ein deutsches Requiem für Soli, Chor und Orchester op. 45 作曲時期 1856?/68 初演 1867-12-01@ウィーン:ヨハン・ヘルベック指揮 (第1~3曲) 1868-04-10@ブレーメン:ブラームス指揮 (第5曲を除く) 1869-02-18@ライプチヒ:カール・ライネッケ指揮 (全曲) 楽章構成 第1曲: Selig sind, die da Leid tragen 第2曲: Denn alles Fleisch i

  • ベルディ(ヴェルディ):レクイエム・ミサの歌詞と音楽

    ベルディ(ジュゼッペ・ヴェルディ, Giuseppe Verdi)の「レクイエム」を演奏した機会に、その曲の構成と歌詞について調べたことをまとめたものです。 曲の概要 各曲の詳細 補足(オペラ的、オラトリオ、lyric prototype、hypermeter、メトロノーム指定、オテロの旋律、コントラバスの記譜など) 参考文献、楽譜(David Rosen、John Roeder、森田陽子らの研究や批判校訂版) 曲の概要 曲名 レクイエム・ミサ、マンゾーニの命日を記念するための Messa da Requiem per l'anniversario della morte di Manzoni 作曲時期 1873/74 (1868/69:ロッシーニ追悼レクイエムのLibera me) (1875:Liber scriptusの改訂) 初演 1874-05-22@ミラノ、サン・マルコ教会 楽

    ベルディ(ヴェルディ):レクイエム・ミサの歌詞と音楽
  • 第九の歌詞と音楽 - ベートーベン(a.k.a.ベートーヴェン)交響曲9番とシラーの「歓喜によせて」

    「このような音ではない」という言葉が何を否定しているのかは、いろいろな捉え方がある。まず、直接的に3つの楽章を否定していくのは終楽章冒頭の低弦のレチタティーヴォだ。ノッテボームなどの研究によれば、ベートーベンのスケッチではこの器楽によるレチタティーヴォの旋律に歌詞が書き込まれている。スケッチの旋律はまだ未完成であるものの、最終的なレチタティーヴォと次のような対応関係がある: 1楽章が回顧されたあとのフレーズには「o nein, dieses nicht, etwas anderes gefälliges ist es was ich fordere(いや、これではいけない、もう少し違ったものを、快いものだ、私の求めているのは)」 2楽章の断片のあとでは「auch dieses nich, ist nicht besser, sondern nur etwas heiterer(これもだめだ

  • ケルブあるいはケルビム - 第九の歌詞にみる天使の意味

    ベートーベン(a.k.a.ベートーヴェン)の第九フィナーレで歌われるシラーの詩には、"und der Cherub steht vor Gott!"と天使ケルブ(ケルビム)が登場します。現代におけるケルビムのイメージが《キューピット》に近いために、ここは「少年天使が現れる」と訳されたりもしますが、来ケルブとは強面の天使。詩の意味を理解する助けとして、ケルブが文献などでどんな風に描かれているかを確認します。 古典文献のケルブ 旧約聖書のケルブ 同時代の文学とケルブ 乙女=ケルビム? ロマン・ロランの読解 “天使”的なケルビム 参考資料 (この文章は、もともと「第九の歌詞と音楽」の一部として書いた注釈を独立させたものです) 古典文献のケルブ 旧約聖書のケルブ ケルブは偽ディオニュシオスによる天使の九階級ではセラフ(セラフィム)に続く第二階級(第九階級がエンジェル)。その姿は、旧約聖書『エゼキ

  • ノリントンのシューベルト演奏ノート - Norrington's Schubert performance note

    シューベルトの演奏ノート Schubert: Symphony No.9 in C major, "Great" 作品について このCDについて シューベルトのグレート・ハ長調交響曲は初期ロマン派期の最高傑作の一つです。ハイドン、モーツァルト、ベートーベンの古典派交響曲の完全な後継者であると同時に、それは驚くほど独創的でもあります。田園交響曲の伝統にのっとった喜びの歓呼のなかで、このさき中期から後期のロマン派を通して聴くことのできる、ロマン的な諦念の新しい和声が響いているのです。 この曲は、彼が(そして私たちが)シューベルトの成熟期の、もし彼が十分長生きしていれば作曲したであろう、交響曲と(間違いなく)オペラの傑作群の最初の作品とみなされるものです。長年にわたる歌曲とピアノ曲の栄光の後で、室内楽と小交響曲(すべてほぼ私的な演奏会のためのもの)の時期を経て、「大交響曲」の時代が訪れました。大

    ノリントンのシューベルト演奏ノート - Norrington's Schubert performance note
  • ブラームス交響曲第4番 ホ短調の概要、基本情報

    曲の概要 曲名 交響曲第4番 ホ短調 op.98 作曲時期 1884/85 初演 1885-10-25(17?) @ マイニンゲン 楽章構成 Allegro non troppo Andante moderato Allegro giocoso Allegro energico e passionato 楽器編成 Fl:2; Ob:2; Cl:2; Fg:2; Cfg:1; Hr:4; Tp:2; Tb:3; Timp; Str ノート 愁いを含んだ主題が、弱拍からの下降音型でため息をつくように始まり、大きな跳躍で上昇してはまた下がっていく。第1楽章のこの主題の上昇した音をそれぞれオクターブ下げいくと、3度ずつの順次下降でホ短調の和声音階の全ての音が並ぶのは良く知られているとおり(譜例1)。主題の後半はこの逆で、オクターブ下がっては3度の進行で順番に上昇していく。この3度の連続は、ブラ4を

  • ブラームス交響曲第1番 ハ短調の概要、基本情報と演奏データ比較

    曲の概要 曲名 交響曲第1番 ハ短調 op.68 作曲時期・場所 1876 初演 1876-11-04 @ カールスルーエ 楽章構成 Un poco sostenuto-Allegro Andante sostenuto Un poco allegretto e grazioso Adagio-Piu andante-Allegro non troppo, ma con brio 楽器編成 Fl:2; Ob:2; Cl:2; Fg:2; Cfg:1; Hr:4; Tp:2; Tb:3; Timp; Str 備考 ノート 長期にわたって書き継がれた力作の第1楽章は、思いのたけをいきなり爆発させるような異例に濃密な序奏で開始される。冒頭で示されるVn,Vcの半音階上昇(X)、木管、Vaが反行する下降音形、2小節目後半に現れる付点八分音符と16分音符3つによる音階進行(Y)など、この序奏には楽章

  • 音楽雑記帖 - スコアとパート譜

    春祭のパート譜が汚いのでスコアを見ながら修正していたら、音としては同じだけれども、音楽の構成上、かなりスコアと違う書き方になっていることに気付いた。149からの「聖なる踊り」の部分で、ブーレーズの分析でも詳しく検討されている箇所だ。 ブーレーズはここを a5 b4 c4 a3 b4 a5 c4 a5 c4 a3 a3 a3 b4 a3 b4 a5 c4 という具合に整理して(ただしa,bにはベクトルのように→←を付けたバリエーションがある)、見事にそのシンメトリーの構造を示している。つまり、2行目と4行目は全く同じだし、3行目は3つのa3をまとめれば、2行目の前半と後半を入れ替えたものだということがわかる。 しかし、パート譜を見ていると、これがどうにもちぐはぐ。ブーレーズが「細胞」に分けているのとは異なる形で32分音符の「旗」がつながっていたりするので、構造が浮かび上がらないどころか、全然

    ushiwatat
    ushiwatat 2008/03/22
    「春の祭典」の分析と譜面のズレ、スコアとパート譜のズレについて。
  • 1