審査委員ではない外部有識者の立場から、すべての審査対象を見つめ、“うねり”を探ってきたフォーカス・イシュー・リサーチャー。3人それぞれの専門性や切り口から、審査プロセスに伴走する中で見えてきた気づきや視点について書いてもらった。 今回は、デザイン人類学者の中村寛が、解決すべき「社会課題」に直面したときに求められる「勇気」について考察する。 本記事は、2023年度フォーカス・イシューレポートにも収録されています。 治癒的(なおす)デザイン(therapeutic design) 2023年度フォーカス・イシューレポートの「視点⑤:生み出すのではなく《なおす》」のセクションでも詳述したように、幾人もの哲学者が、法の本質的機能は暴力であるとしてきた(*1)。法は、適用範囲内にある身体を縛り、拘束し、場合によっては死に至らしめることができる、というわけだ。「暴力」という言葉が強すぎたとしても、少な