阪急神戸線・夙川(しゅくがわ)駅から北へたった2.2キロメートル。わずか3駅を結ぶ極短路線「阪急甲陽線」は、一見すると地味で目立たない存在とも言える。 だが、その沿線には夙川、苦楽園、甲陽園、そして日本屈指の邸宅街と言われる六麓荘町(ろくろくそうちょう)が連なり、実は「始発駅から終着駅まですべて高級住宅街」という特異な環境下を走っている路線なのである。 2024年に開業100年を迎えた阪急甲陽線沿線を歩いてみると、路線図だけでは伝わらない「街の格」が見えてくる。 行楽地から住宅街へと変貌を遂げてきたこの沿線周辺には、現在どのような風景が広がっているのだろうか。その姿を確かめてきた。 短いけれど異常に濃い、阪急甲陽線とは? 西宮市の南西部に位置する夙川駅から2.2キロメートル。阪急甲陽線は、夙川駅・苦楽園口駅・甲陽園駅の3駅のみを結ぶ、「極短路線」だ。 全線単線で、途中の苦楽園口駅で上下の電
