『人間の値打ち』(2013年)によって日本での知名度も高まったパオロ・ヴィルズィ監督の最新作『歓びのトスカーナ』(原題『La pazza gioia』)が7月8日に公開された。イタリアのアカデミー賞では作品賞、監督賞をはじめ、5部門を受賞した本作品では、ヴィルズィ監督が女性の友情と精神病、この二つのテーマを絡ませ、イタリア版の『テルマ&ルイーズ』を作り上げた。 ◆2人の精神病患者の逃避行 『歓びのトスカーナ』の舞台はトスカーナ州にある診療施設「ヴィラ・ビオンディ」で、ここで様々な精神的な問題を抱えている女性たちが社会に復帰するための治療を受けている。その一人は、伯爵夫人を自称する、虚言癖でおしゃべりなベアトリーチェ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)だ。 ある日、患者のドナテッラ(ミカエラ・ラマッツォッティ)が「ヴィラ・ビオンディ」に到着する。ベアトリーチェとは対照的にドナテッラは無口な人物