参院予算委員会で自民党の小野田紀美氏の質問に答える岸田文雄首相=国会内で2021年12月17日午前9時6分、竹内幹撮影 17日の参院予算委員会で、自民党の小野田紀美氏がNHKを視聴したい人だけが受信料を払う「スクランブル化」を求める一幕があった。NHKはテレビを持たない人に対するインターネットを通じた番組配信の実証実験を2022年度中に始めるが、小野田氏は「ネットの受信料を取ろうとするならけしからん」とけん制した。 小野田氏は「今、若者を中心にテレビを見なくなっ…
森友学園問題に端を発した財務省の決裁文書改ざんを巡る訴訟は、国が近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54歳)の自殺との因果関係と、賠償責任を一転して認めたことで突然の幕引きになった。国が国家賠償訴訟で認諾の手続きを取るのは極めて異例。関係者の証人尋問も実施していない段階での決着で、赤木さんの妻が最も望んだ真相解明を封じようとする国側の姿勢が透けている。 国側は15日に大阪地裁に提出した準備書面で、「いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではない」と強調。「決裁文書の改ざんという重大な行為が介在している本事案の性質を考慮した」と方針転換の理由を記載した。準備書面計3枚のうち、理由の説明はわずか1枚だった。
岸田文雄首相は、9日開かれた「公的価格評価検討委員会」の初会合で、介護職や保育士、看護師らの賃金引き上げについて「最優先課題だ。春闘に向けた議論に先んじ、経済対策で必要な措置を行い前倒しで実施する」と述べ、来年初頭の春闘が本格化する前の実現に意欲を示した。早ければ来年2月から、月給で5000円~1万円程度引き上げる方針で、同委員会は年内に結論をまとめる。 介護や保育、医療サービスの対価は公的に価格が決まるため、人手不足でも賃金が上がりにくい。岸田首相は分配重視の政策を進める姿勢を打ち出しており、介護職らの処遇改善を民間企業の賃上げの機運醸成につなげるとともに、非正規の女性が多く働く医療・福祉分野の処遇改善を図り、人手不足の解消や格差是正につなげる狙いもある。首相は幼稚園教諭の賃上げにも言及した。
野党や左派を攻撃することで知られ、多くのフォロワーを持ち影響力の大きいツイッターの匿名アカウントが1日、アカウントを非公開にした。同アカウントを巡っては、複数のツイートが名誉毀損(きそん)に当たるとして、小説家の室井佑月さんが550万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴している。 このアカウントは「黒瀬 深」(@Fuka_kurose)。1日現在で14万超のフォロワーを持つ。保守的な投稿が多く「サヨク」などの言葉を使って主に立憲民主党や共産党などの野党や野党議員を攻撃する、いわゆる「ネット右翼」アカウントの一つだ。 同アカウントは「少し急になりますが、本日をもって黒瀬深はTwitterを引退したいと思います。理由は本業に集中する為です。」などと1日に投稿し、アカウントに鍵をかけて非公開にした。アカウントは裁判が終了した後に削除するという。運営するユーチューブも更新を停止するとしている。 ただ
北欧のデンマークが誇る数字がある。「84.6%」。2019年の議会選挙(1院制)の投票率だ。1953年に憲法が改正されて以降、議会選の投票率は8割を切ったことがない。主要な選挙の度に有権者の関心の低さが指摘される日本からすると驚くべき数字だが、その秘密はどこにあるのか。 「政府への信頼が厚いこと。そして、政治や議員との距離が近く、投票することで政治に影響を与えることができ、自分の生活にプラスになる。そういう感覚を持っていることです」。ピーター・タクソイェンセン駐日大使は、高投票率の理由を簡潔に述べた。 デンマークは「清廉な国」と言われてきた。世界各国の汚職の度合いを調査する国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」が発表した20年の「腐敗認識指数」では、約180の国や地域のうち、ニュージーランドと並んで最も政治腐敗の度合いが低かった。ちなみに日本は19位。デンマークは前年も首位
福岡5区の応援に入り、街頭演説で「岸田ノート」を掲げ、自民党への支持を訴える岸田文雄首相=福岡県大野城市で2021年10月23日午後3時49分、徳野仁子撮影 岸田文雄首相が衆院選の街頭演説で「経済成長」に軸足を置いた訴えを続けている。一方で、自身が掲げる「新しい資本主義」で重視する「分配」への言及は抑制気味だ。野党との差別化を狙う自民党が「成長」を前面に出すよう要請したためだが、野党は「アベノミクスと何ら変わらない」などと批判している。 「新しい資本主義」も0~1回 「テレワークやスマート農林水産業で若い人が地方で活躍できる。農業も経済成長の大きな役割を果たしてもらう」。首相は23日、佐賀県武雄市の街頭演説で「成長」という表現を7回使いつつ、「新しい時代を切りひらきたい」と訴えた。「分配」の文言は、現地での第一声としては選挙戦5日目にして初めて消え、力点の違いは明らかだった。 首相は9月の
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻雅子さん(50)は7日に大阪市内で記者会見し、岸田文雄新首相に直筆の手紙を送り、改ざん問題の再調査を求めたことを明らかにした。 雅子さんは岸田首相が「特技は人の話をしっかり聞くこと」と発言したことに触れ、「ぜひ話を聞いていただきたいと思って手紙を出した。私の声も届くはずだし、聞いてくださるという感覚がある」と期待を寄せた。 6日に送った手紙は計2枚で、「私の話を聞いてください」との文言で始まる。6月に開示された「赤木ファイル」で、赤木さんが改ざんに抵抗する内容のメールを残していたことに触れ「夫は改ざんをやるべきではないと本省に訴えている」と説明。しかし、メールへの返信内容が明らかになっていないとして、「夫が正しいことをしたことに対し、財務省がどのような対応をしたのか調
岸田文雄首相による内閣が発足し、記念撮影にのぞむ岸田首相(前列中央)と閣僚たち=首相官邸で2021年10月4日午後10時45分、宮武祐希撮影 毎日新聞と社会調査研究センターは4、5日、岸田文雄内閣の発足を受け緊急の全国世論調査を実施した。内閣支持率は49%と5割に届かず、昨年9月の菅義偉内閣発足時の64%を大きく下回った。不支持率は40%だった。閣僚の顔ぶれに「期待感が持てる」との回答は21%にとどまり、「持てない」が51%に上った。 発足直後の支持率は新首相への期待から高めに出る傾向がある。岸田内閣最初の支持率は、菅内閣最後となった前回調査(9月18日)の37%より上がったものの、歴代内閣の発足時と比べ低調な船出と言えそうだ。調査方法が異なるため単純に数値の比較はできないが、過去20年間では麻生太郎内閣発足時(2008年9月)の45%に次ぐ低さとなった。 岸田内閣を支持すると答えた人にそ
麻生太郎副総理兼財務・金融相(左)の言葉を聞く安倍晋三首相=国会内で2015年2月12日午後2時7分、藤井太郎撮影 安倍晋三前政権から菅義偉政権までの9年弱、日本社会は大きく変化した。今、私たちが向き合うべき問題の本質はどこにあるのか。リベラル(自由)であるがゆえに生きづらい、そんな現代社会を攻略不能なゲームになぞらえた著書「無理ゲー社会」(小学館新書)がベストセラーとなっている作家の橘玲さんに聞いた。【聞き手・和田憲二/経済部】 「リベラル化」には影がある ――「無理ゲー社会」の冒頭、低賃金や不安定な雇用、親の介護への不安などから「自殺する権利」の制度化を求める若者たちの切実な声が紹介されています。新自由主義的な安倍・菅政権の下、経済格差が広がったことが関係しているのでしょうか。 ◆今の日本の政治という以前に、世界的に社会の分断が進んでいます。「経済格差」や「強欲な資本主義」が元凶とされ
安倍晋三政権、菅義偉政権は省庁人事を差配する内閣人事局を使った「官邸主導」の政治手法で霞が関を支配した。政策決定の迅速化や省庁の縦割り打破につながった一方で、官僚の萎縮を招き政策がゆがんだという弊害も指摘される。官僚出身で民主党の参院議員として行政改革に携わり、「内閣人事局の生みの親」の一人でもある松井孝治元官房副長官(慶応義塾大教授)は、自戒も込めつつ「行き過ぎた官邸主導になってしまった。見直しが必要」と指摘する。松井氏に、両政権の官邸主導であらわになった課題を聞いた。【松倉佑輔/デジタル報道センター】 菅流「恐怖政治」が残したもの ――松井さんは通商産業省の官僚時代、橋本龍太郎元首相が推進した「橋本行革」に携わり、民主党議員としても2008年の国家公務員制度改革基本法の与野党協議を担いました。菅政権の官邸主導をどう見ていましたか。 ◆菅さんは内閣人事局を、恐怖政治的に使いました。役人時
閣議後記者会見で質問に答える麻生太郎財務相=東京都千代田区の財務省で2021年9月21日午前11時31分、町野幸撮影 森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題で、メディアが記者会見などで自民党総裁選候補者に再調査するかどうか意向をただしていることについて、麻生太郎財務相は21日の閣議後記者会見で「これからの政権に前の政権の評価を聞いて読者の関心があるのかねえ」と述べた。森友問題を「すでに終わったこと」にしたい麻生氏の姿勢がにじみ出た格好。これまでの財務省による調査は不十分だとの声が根強い中、問題のある発言と言えそうだ。 この問題では、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、値引きが問題視され、財務省の決裁文書の改ざんや近畿財務局職員の自殺に発展した。財務省は2018年に調査報告書を公表している。
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