出版不況・書店不況が続くなか、大手書店チェーン「株式会社丸善ジュンク堂書店」(本社:中央区日本橋)が、興味深い仕掛けを展開している。たとえば書店に一晩泊まることができるツアーや、本を読む前に目次を30分眺め続ける読書会等々だ。 こうした取り組みは決して奇をてらっているわけではなく、その裏には「新しくて豊かな読書体験を提供したい」という想いがある。ジュンク堂書店創業者の2代目であり、丸善ジュンク堂書店で経営企画部部長を務める工藤淳也さんに、同書店が照らし出す本の未来について話を聞いた。 「ジュンク堂に行けば、ない本はない」 ジュンク堂書店といえば、なんといっても圧倒的な品ぞろえが特徴。専門書も多く取り揃え、図書館のような大きなフロアには、本がズラリと棚差しされている。「他店で見つからない本でも、ここであれば…」と思わせる、稀有な書店だ。 ところがそうした特色は、はじめから狙ったものではなかっ