なぜこのような場所を「汚い」と感じないのか ドアを開けて絶句した。 古びた一軒家の室内には大量の砂利や鳩の羽、動物の排泄物が染み込んだ紙類が散らばっている。人が住んでいたとは思えなかったが、ここにはたしかに高齢夫婦が住んでいた。妻が病気で入院した数日後に、夫が風呂場で亡くなったという。かねてより近隣から臭いの苦情があったため、地域の包括支援センターが見に行くと、部屋中に物があふれていたそうだ。 いわゆる“ゴミ屋敷”をテレビで目にしたことがある人は多いだろう。しかし、それを実際に目の当たりにした時の衝撃はすさまじい。「なぜ?」という言葉が頭にうずまく。高齢者とはいえ認知機能が低下していない正常な人が、どうして自分の寝る場所さえなくなるほどの、大量の物をためこんでしまうのか。そしてなぜこのような場所を「汚い」と感じないのだろう。 近年、身体機能が低下した高齢者、社会から孤立した独居者らが身の回