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ブックマーク / note.com/shinshinohara (13)

  • 金持ちイジメに見えて金持ちに有利になる世論誘導|shinshinohara

    もう二十年ほど前から「東大に進学するのは裕福な家庭」という報道が繰り返されている。そしてそのことを知っている人は非常に多く、今や常識。そのためか、街角インタビューでも「どうせ東大生は金持ち出身なんでしょ、だったら学費上げても構わないでしょ」という意見が。 これは恐らく「金持ちからはふんだくったらいい、ざまあみろ」という報復感情も多少手伝っているのだろう。 しかし実態は逆になる。金持ちには150万円の学費なんか痛くもかゆくもない。しかし貧困家庭ではとても支払えない金額。単に貧困家庭を大学という学歴から締め出す効果しか起きない。 これと似たことが政治でも。日では「政治家はカネに汚い」というイメージがある。どうせ権力を利用してお金儲けしてるのだし、元々金持ちだろうから、政治家は無給にしてタダ働きさせればいい、という意見がしばしば出る。これを、金持ち政治家に一矢報いるアイディアくらいに思う人が少

    金持ちイジメに見えて金持ちに有利になる世論誘導|shinshinohara
  • 「いじり」は笑いを提供しているのではない、嗤いで人々を支配したいだけだ|shinshinohara

    ビートたけしに始まり、ダウンタウンが引き継いだ「いじり」という手法は、集団を「嗤(わら)い」で支配できるということを子どもたちに示してしまった面があるように思う。 頭の回転がよく、言葉巧みな強者は、特定の人間を「いじられキャラ」に仕立てることで嗤いを生む。この場合、 いじられキャラと目された人間は、他のポジションを要望する自由を奪われる。もし拒否すれば、「笑いがわかってない」「せっかくお前が主人公になれるようにしてやったのに」と恩着せがましさを見せながら相手を罵り、それでも拒否するなら集団から排除する。「おもんねーヤツ」とレッテルを貼って。 こうした強者は空気を支配するのがうまい。大学のサークルの新歓コンパで、そうした先輩がいた。新人に自己紹介をさせたあと、ビールを何杯も飲ませて酔い潰させていた。さて、私の番。ビールを飲み干し、コップを頭の上で逆さにし、「あー、うまかった」と言ってそのまま

    「いじり」は笑いを提供しているのではない、嗤いで人々を支配したいだけだ|shinshinohara
  • 目標から逆算し、先回りされると意欲を奪われる|shinshinohara

    私の塾は基、成績のあまりよろしくない生徒が来ていたのだけれど、たまに勘違い(?)した親が、ものすごく成績の良い子を連れてきて「お願いします」と言ってくる場合があった。中学受験に失敗し、高校受験で挽回したい、という熱意を母親が持っていた。面接のとき、母親は子どもに語りかけた。 「あなた、同級生の○○ちゃんが合格して、泣いて悔しがったでしょう?高校受験で挽回する、って誓ったじゃない!?○○ちゃんは今頃頑張っているよ。負けていられないわよ」子どもはうなづきつつも、またその話か、といった、辟易とした顔をした。 不合格だった時は、人も口にしてその通りのことを言ったのだろう。けれど、それを言質に取られて、母親からヤイノヤイノと急き立てられる毎日に、ほとほと疲れ切った様子だった。塾以外の時間も勉強漬けにされ、中学1年なのに眉間に険が走っていた。大の勉強嫌いになってしまっていた。 自分の親とはいえ、他

    目標から逆算し、先回りされると意欲を奪われる|shinshinohara
  • 先回りすると興味を失う、後回りして驚くと興味を示す|shinshinohara

    子どもが興味関心を失う大きな原因に「先回り」があるらしい。 自分が子どもの頃、大好きだった図鑑があって、「これ、お父さんが大好きでよく読んでいたんだ」というと、一つも読もうとしなかった。 ところが知人がくれた図鑑は擦り切れるほどに何度も読んで、私にその知識を披露してくれた。 私の勧めた図鑑を手にとろうとしなかったのは、私がその図鑑の内容について詳しいからだろう。ということは、その図鑑から知識を仕入れて親に披露しても、親は「ああ、知ってる知ってる」という反応しかしないだろう、それどころか追加の知識も披露して自慢するだろう、と嫌気がさしたのかも。 「名探偵コナン」が大好きな息子。そこにたびたび三国志エピソードが挟まるのに興味をもち、「三国志読んでみたい」と言い出した。三国志好きな私はそれで嬉しくなってしまい、熱く語ってしまった。そこから息子はマンガ三国志を読まなくなってしまった。私が詳しいこと

    先回りすると興味を失う、後回りして驚くと興味を示す|shinshinohara
  • 「分割して統治」された日本|shinshinohara

    欧米には「分割して統治せよ」という統治術がある。ベルギーはルワンダを植民地にしたとき、鼻の高さなど些細な違いを理由にツチ族とフツ族に分け、片方を優遇することでいがみ合わせた。これが後の虐殺を生む原因ともなった。 国の内部でいがみ合わせると、統治者への憎しみが分散する。 「まさか」と思いつつも、もしかしたら日で「競争原理」を流行させ、正社員と非正規社員とに分断し、いがみ合わせ、労働者がまとまらないように仕向けたのも、日の活力を奪い、その間に漁夫の利を得る「統治者」による現代的な「分割して統治せよ」なのかもしれない、という気がする。 日の強みは労働者が強いことだった。しかも会社への忠誠心も厚いという特徴があった。戦後、労働運動が盛んで会社と労働組合との衝突が絶えない中、カネボウは企業と労働者は同じ船に乗る運命共同体だとした(労使運命共同体論)。ここから、労使協調して企業の発展に尽くすとい

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  • 「勉強しないとどうなるか」という脅し|shinshinohara

    勉強しようとしない我が子を見て、「勉強しないとどうなってしまうか」という将来の話をし、なんとか勉強する気を起こさせよう、とする親は多い。気持ちは分かる。勉強しなければ損をする。我が子を思えばこそ、勉強しとけとアドバイスせずにはいられない、と。ただ。 「勉強しなければこうなってしまうぞ」という話は、子どもにとって脅しとなる。そうした脅しを聞いた子どもは勉強に対してどう思うかというと、「こんな脅しでもかけないと勉強しないと思われるくらい、勉強というのはつらくて面白くないんだ」という裏メッセージを受け取ってしまう。その結果。 ますます勉強するのが嫌になる。脅さなければ勉強するはずがない、という親の思いを感じ取って、ますます勉強に対して気が重くなる。ほとんどの子はこのためにますます勉強が嫌になり、なるべく逃げようとする。逃避しようとする。 ごくたまに例外がいる。もともと勉強ができる子。自分は良い成

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  • 「ジョブ制」考|shinshinohara

    知人によると、日の強みは、職場で困ってる人を見かけたとき「どうしたの?手伝おうか?」の言葉がスッと出ることじゃないか、という。外国人はこうはいかず、「それはオレの仕事じゃない」とつれなく通り過ぎてしまう。困ってる人はいつまで経っても困り続けることになる。 ジョブ制は、移民の多い国で考えられた工夫だと思う。民族も文化も全然違う、場合によってはその国に来たばかりで右も左もわからない人間に、「お前の仕事はこれ」と明確に領分を決め、それをやりきれるようなら仕事を続けられ、出来ないようなら解雇、というやり方。 仕事の内容が明確なジョブ制は、逆に言えば融通がきかない。契約前に想定していない仕事が発生すると、「それはオレの仕事じゃない」とみんな拒否する。外国企業で人の上に立つ人間は給料高い代わりに夜中まで働く過重労働なのは、ジョブ制で割り振れないのを全部片さなきゃいけないからかも。 日は「チーム」で

    「ジョブ制」考|shinshinohara
  • 単純作業は創意工夫の小宇宙|shinshinohara

    ストッキングの袋詰めを内職に出すことに。まずは一箱どのくらい手間がかかるか調べなくては。両親二人で三時間。ということは、一人だと一箱六時間かかる。それを参考に、一箱あたりの内職代を決めた。案の定、慣れてきた人でも四時間を切ることはできなかった。ところが。 一人だけ、1時間程で一箱仕上げてくる人がいた。そのことを他の内職の人に言うと、皆、信じられない、友達に手伝ってもらっているに違いない、という。 ところがとうとうその人は1時間を切って持ってくるように。人に聞くと、一人でやってるという。一度、目の前でやってみてほしいと頼んだ。 「うちのテーブルと少しすべりが違うけど」と言いながら、袋の束ををトントンとテーブルの上で叩くと、前に放り投げた。マジシャンのトランプのように、均等に袋がズレて並んだ。まずこれにビックリ。すると今度はストッキングを雑然と山にした。「きちんと並べなくていいんですか?」と

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  • 創造性を奪う競争的資金|shinshinohara

    大型予算の研究プロジェクトになると、研究の進行を監督し、アドバイスする人を配置する。そのアドバイザーになったことがある。 そのプロジェクトは、早い時点で計画が破綻していた。そのためか、全員が頭真っ白になっていることがよくわかった。もうどうしたらよいかわからない。 申請書には開発不可能とされた技術をいかに開発するか、見事な実験計画が描かれていた。しかし早い段階で「考えていた方法では開発は無理」なことが明確になった。何せ、計画には、自分たちが最善と思った方法を列挙してある。それがうまくいかなかったら、もうそれ以上アイデアがなかった。 みなさんの発表を見てると、計画に書いた方法から大してはみ出てない実験ばかり。もはやうまくいく方法を探すというより、三年間ももらえてしまう予算に見合うだけの実験はしましたよ、という言い訳をするための実験ばかり。「こんなにたくさん実験しましたけどダメでした」と、許して

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  • 「驚く」ことが体験ネットワークを構築する|shinshinohara

    「勉強できる子」は一度説明しただけで理解し、覚えてしまう。「勉強の苦手な子」は一度説明しただけでは理解できず、覚えることもできない。なんなら同じ説明を何度もしても理解できない。この現象をもって「頭が悪い」と決めつけてしまう「勉強のできる人」は多い。しかし私は見解が異なる。 観察してると「勉強のできる子」は、その言葉を聞く前にすでに知識のネットワークが準備されている。電流の話を聞く前に、モーターや電球の仕組みだとかに興味を持ち、すでにある体験ネットワーク、知識ネットワークの結節点の一つにその名称をあてはめるだけ。だからすんなり覚えてしまう。 ところが「勉強の苦手な子」は、体験ネットワークがすっぽり抜けてしまっていることが多い。花をマジマジ見たことがないし、電気のオモチャを分解したりしたことがない。見たことも聞いたこともないことを突然聞かされても面らうだけだし、何度説明されても体験と結びつか

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  • オープンマインドな子育て|shinshinohara

    子どもと公園へ遊びに。ここ数年で急速に変わったな、と思うのは、オープンマインドな親子が増えたな、という感覚。息子が2、3歳の頃までは、同じ公園で遊んでいても、目に見えない壁があるようで、他の親子との交流は起きづらく、たくさんいるのに個々バラバラに遊んでいる感じだった。 今日は、公園で初対面の親子二組と、馴染みの親子一組、うちの子どもたち四組が一緒になって遊んでる。コロナには十分気をつけなければならないけど、スッと仲良くなれるのは、親御さんに心の壁がなくなってることが大きいように思う。 数年前まで、英才教育、早教育に熱心な親御さんが多く、他人からの介入を嫌がる傾向があった。そのせいで、他人が干渉してはいけない空気があった。しかしワンオペ育児の問題がクローズアップされ、「孤育て」がいかにつらいことか認識が広がるにつれて、空気が変わってきたように思う。 数年前まで、他人が声をかけてくるのは注意か

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    wushi
    wushi 2021/09/23
  • 「無気力」からも意欲の泉は湧いてくる|shinshinohara

    その学生は、なんと言っても「無気力」だった。返事も「はい・・・」「わかりません」と、気の抜けた感じ。指導を私に託した先生によると、卒論を書く時期になると大学に来なくなり、もう二回も卒業し損ねているという。 こりゃ、無理やりやらせても言ったことの半分もできないのは目に見えていた。 教えても「はい・・・」と生返事で、わかったのかどうかもわからない。旧帝大生だから理解力はあるはずだが、とにかく気力がない。意欲がないことには何を指導しても無駄だろう。 そこで、以前から「こうしたら意欲が高まるかもしれない」と感じていた仮説を試してみることにした。 とある実験結果を示して、「何か気づいたことがあったら教えて」と言った。すると学生は案の定「わかりません」という。「わからなくて当然、だって僕も初めての現象だからわからん。なので、互いに気づいたことをどんどん言い合うようにしよう」 「たとえばここ、どうなって

    「無気力」からも意欲の泉は湧いてくる|shinshinohara
    wushi
    wushi 2021/09/08
  • 「素」を見ること|shinshinohara

    高校を卒業してすぐ、母が倒れた。父によると死に病だという。家事は3人兄弟で回していたが、学校に通っている弟と比べると、私に少し負担が多めになる。受験勉強が思うようにできなくて、苦しんでいた。余命がないのなら、センター試験に特化し、高得点を見せて喜ばせてやろうとした。 そしたら、かなり高得点に。幸い母親は死に病から脱出できたのだが、そのあまりの高得点でみんな勘違いした。しかし私は、二次試験の勉強にまで手が回っていなかったので、京大は無理だと感じていた。ところが誰も反対しないどころか、京大受けないのおかしいというので、結局受けた。案の定落ちた。 すると、「京大に受かるかもしれない子」という目でチヤホヤしていた大人たちが、スーッと引いていったのが分かった。まあ、仕方ない。私としては、受験生でも家事から逃げなかったことに誇りを持ち、第二志望の大学に行くことにそれなりに納得していた。しかし両親は明ら

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    wushi
    wushi 2021/08/07
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