あの日を境に芝生のグラウンドは砂利の敷かれた駐車場になった。 それでも、Jヴィレッジが元に戻る日が来ることを信じて 西さんは今日も料理を作る。 大事なことを自分に教えてくれたサッカーをここへ取り戻すために。 雑誌Numberに連載中の「シリーズ 3.11を越えて」。 今回は日本代表専属シェフ、西芳照さんが故郷・福島で臨む “復興への戦い”を追ったドキュメントをNumber822号より公開します。 あの青々としたピッチは、砂利の敷かれた駐車場に変わっていた。 ボールを蹴る音は消え、砂利を踏むタイヤの音がひっきりなしに耳に入ってくる。 日本サッカーのナショナルトレーニングセンターとして利用されてきたJヴィレッジは福島県楢葉町、広野町の2つにまたがる広大な施設だが、東日本大震災を境にして役割は180度変わってしまった。福島第一原発の20km圏内に入ることから「警戒区域」(昨年8月に解除)に指定さ