手軽なカップ麺に押されてピーク時の半分以下に市場が縮み停滞していたという即席袋めん市場。ところが、一昨年末に東洋水産の「マルちゃん正麺」が発売されて以来、袋めん市場が再び活況を見せ始めている。「マルちゃんショック」と呼ばれる衝撃を与えた東洋水産の「マルちゃん正麺」について、五感・身体と社会の関わりをテーマに、五感生活研究所代表として取材や多くの講演を精力的に行う作家の山下柚実氏が、その秘密に迫った。 * * * 2011年11月、即席袋麺「マルちゃん正麺」が東洋水産から発売されると、市場はどよめいた。発売直後から消費者の反響はすさまじく、同社は製造ラインを3倍に拡大して対応した。発売からたった1年半弱で累計3億食、販売金額300億円(2013年3月、希望小売価格ベース)を達成した大ヒット商品。完成された商品と思いこんでいた袋麺に、まだやれることがあったのかと、業界にはショックが走った。