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ブックマーク / saavedra.hatenablog.com (59)

  • 磯田道史『武士の家計簿』はやはり傑作だった - 明晰夢工房

    武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/04/10 メディア: 新書 購入: 16人 クリック: 113回 この商品を含むブログ (152件) を見る 磯田ファンのひとりとしてはとっくに読んでいなくてはいけないのはずなのに、タイトルから想像される中身の地味さを敬遠して今まで手をつけられずにいた……のですが、やはりこれは傑作。 ベストセラーになり映画化も成功してかなり有名になった一冊ではあるものの、このタイトルのせいで読まずに損している層がいるのではないかと思い、もう十分に語られているこのの魅力について今さら語ってみることにします。 この『武士の家計簿』で語られているのは、「御算用者」として加賀前田家に仕えた猪山家一族の生き方です。加賀藩の会計係の話といえば以下にも地味に思えますが、この猪山家が残した「

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    yaneshin 2019/03/30
  • ローマの敵側の視点から歴史を描くドラマ『バーバリアンズ・ライジング~ローマ帝国に反逆した戦士たち~』の観応えがすごい - 明晰夢工房

    huluで『バーバリアンズ・ライジング』という歴史ドラマを観ているのですが、これが実にクオリティが高くて見ごたえがあります。1話1時間ほどのドラマが8話にわたって続くのですが、それぞれのストーリーの主人公はすべてハンニバルやブーディカ、アッティラなどローマの敵となった側の人物で、ローマ側の蛮行が詳しく描かれるので観ているうちにどんどんローマにヘイトが溜まっていくようになっています。『ローマ人の物語』では描かれない、ローマの負の側面をこのドラマで知ることができます。 カルタゴはどう見ても「バーバリアン」じゃないだろう、とは思いますが、ローマの敵側からはローマはこう見えている、ということを映像で知るのは新鮮なもので、歴史の専門家だけでなくアメリカの元陸軍大佐など軍人の解説がしょっちゅう入るのも面白いところ。登場人物の台詞はすべて吹替なので感情移入度も高く、かなり楽しめる内容になっています。以下

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    yaneshin 2019/03/10
  • 【書評】岩波新書シリーズ日本中世史3『室町幕府と地方の社会』 - 明晰夢工房

    室町幕府と地方の社会〈シリーズ日中世史 3〉 (岩波新書) 作者: 榎原雅治 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/05/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (9件) を見る このコンパクトな分量で複雑な室町時代をカバーできるのだろうか?と思いつつ読んでみたらこれが非常にわかりやすい。前提として高校日史くらいの知識は必要かもしれませんが、それさえあれば読み進められる内容だと思います。室町幕府の誕生から南北朝時代をへて応仁の乱にいたるまで政治史の流れを一通りおさえつつ、村の生活の様子、茶道や花道、和式の住宅様式などの「伝統文化」の誕生など民衆史や文化史までカバーする内容なので、室町時代の入門書として最適な一冊と思います。 なかでも注目したいのは、書では鎌倉時代なかばから南北朝時代には農村の土地開発が飽和点に達していると何度も指摘されている点です。この「飽和状態」が

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    yaneshin 2019/03/06
  • 水戸藩にラーメンが伝わった事情とは?『水戸黄門の食卓 元禄の食事情』 - 明晰夢工房

    水戸黄門の卓―元禄の事情 (中公新書) 作者: 小菅桂子 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1992/01 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 現在では室町時代にすでにラーメンべられていたことが知られていて、水戸光圀は「日で最初にラーメンべた人」ではなくなってしまいましたが、それでも茨城には水戸藩ラーメンの伝統が今でも生きています。 r.gnavi.co.jp この『水戸黄門の卓』の「元禄のラーメン」 の箇所には水戸光圀が中国の儒者・朱舜水から教えてもらったラーメンの作り方が書いていあります。中国で唐の時代から用いられている藕粉という澱粉をつなぎに使った麺を用い、火腿(豚のもも肉を塩漬けにしたハム)でダシを取り、五辛という5種類の薬味を入れてべる料理です。 とはいっても、朱舜水は何もラーメンの作り方を光圀に教えるために来日したわけではありませ

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    yaneshin 2019/02/24
  • 門井慶喜『かまさん』感想:函館共和国が敗北した理由とは何か - 明晰夢工房

    かまさん 榎武揚と箱館共和国 (祥伝社文庫) 作者: 門井慶喜 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2016/10/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 榎武揚といえば、私は『土方歳三最後の一日』で片岡愛之助が演じていたあのきざったらしい男をまず思い浮かべる。しかしこの『かまさん』における榎は気風のいい江戸弁をあやつる、遊び心にあふれた男だ。この作品での榎の印象はオランダに留学したエリート官僚というよりは、喧嘩っ早い江戸っ子そのものなのだ。 自負も闘争心も強い榎が薩摩の軍艦と戦うところからこの小説ははじまっているが、慶喜が新政府に恭順する以上、榎が独断で薩長と戦うわけにはいかない。ご存知のとおり、こののち榎が向かうのは蝦夷地だ。 榎は、蝦夷地とはふしぎな因縁がある。榎の屋敷の近くには松前藩邸があり、ために少年時代からかれは蝦夷地への関心を育てて

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    yaneshin 2019/02/17
  • 「肉食」をキーワードとした比較文明論『肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見』は中公新書屈指の名著 - 明晰夢工房

    の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92)) 作者: 鯖田豊之 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1966/01/01 メディア: 新書 購入: 5人 クリック: 32回 この商品を含むブログ (20件) を見る 初版は1966年と古いですが、これは何年経っても色褪せない名著。 「肉」をキーワードとした日欧比較文化論、といった内容ですが、話題が日欧それぞれののあり方や階層意識、性文化、人権意識など多岐にわたっていて当におもしろい。 ヨーロッパ人の主は実はパンではなく肉なのだ、という知見から西欧文明のあり方を縦横に論じるその手際は見事というほかなく、「」というものがここまで深く人の生き方を規定してしまうものなのか、と驚かされることばかりです。 内容が古いのでこの論考がどこまで正しいかはわかりませんが、およそ日とヨーロッパの歴史や文明、文化や宗教観などに少

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    yaneshin 2019/02/16
  • セミの抜け殻を取られたので切腹!氏家幹人『江戸藩邸物語』が描く武士道の実態 - 明晰夢工房

    江戸藩邸物語―戦場から街角へ (中公新書) 作者: 氏家幹人 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1988/06 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (5件) を見る 『応仁の乱』のヒット以降室町時代にスポットライトが当たっているためか、日の中世人はかなりのバーサーカーであり、中世日は修羅の国だったということが知られるようになってきています。しかし、江戸時代に入ったからといって急に日人が平和的になるわけでもなく、江戸初期はまだまだ殺伐とした空気が満ちていたということを、この『江戸藩邸物語』は教えてくれます。 saavedra.hatenablog.com 『江戸藩邸物語』では、冒頭から14歳の武士の少年が蝉の抜け殻を奪い合い、取られたことを恥じて切腹する、というすさまじいエピソードが紹介されています。これは正徳2年、1712年の話です。戦国時

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    yaneshin 2019/02/16
  • 伊東潤『幕末雄藩列伝』を読んで幕末維新の人物評価の難しさについて考えた - 明晰夢工房

    幕末雄藩列伝 (角川新書) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/11/10 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 直木賞作家・伊藤潤さんが幕末の十四の藩をとりあげ、その動向について解説している。薩長土肥など勝ち組から会津・庄内藩などの佐幕派、そして幕末唯一の「脱藩大名」を出した請西藩などマイナーな藩まで取り上げていて、史実を踏まえつつも語り口が物語的なため幕末初心者からマニアまで満足できる内容に仕上がっているのではないかと思います。藩ごとに幕末史の流れを追うことでこの時代の見通しがよくなるし、各藩の話題があちこちでリンクしているので雄藩同士の関係性もよくわかる、お得な一冊になっています。 取り上げられている十四の藩の話はそれぞれ面白かったですが、とりわけ印象に残ったのは彦根藩の話です。ご存知のとおり、彦根藩は井伊直弼を出した徳川家譜代の名門で

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    yaneshin 2019/02/11
  • 江戸時代の百姓の暮らしが裁判でわかる。渡辺尚志『武士に「もの言う」百姓たち』 - 明晰夢工房

    武士に「もの言う」百姓たち―裁判でよむ江戸時代 作者: 渡辺尚志 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2012/12/01 メディア: 単行 この商品を含むブログ (2件) を見る 近代以前では、裁判の記録は庶民の生活を知る重要な手がかりになります。とくに江戸時代では百姓はただお上に押さえつけられているだけではなく、かなり武士に対しても強く自己主張していたため、裁判の内容を知ることで百姓の暮らしや考え方、その実態をよく知ることができるのです。 書では、松代藩南長池村の名主(現在の村長のようなもの)の選挙をめぐる騒動をつうじて、当時の百姓の暮らしを復元することに努めています。なぜ名主の地位をめぐってトラブルが起きるかというと、名主は村を運営するうえで非常に重要な役割を持っているからです。 南長池村では、弥惣八と義兵衛というふたりの人物が名主の地位をめぐって争っています。二人は互いに相手

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    yaneshin 2019/02/10
  • 自己責任論を押し付けられる明治時代は本当にしんどい。松沢裕作『生きづらい明治社会 不安と競争の時代』 - 明晰夢工房

    生きづらい明治社会――不安と競争の時代 (岩波ジュニア新書) 作者: 松沢裕作 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/09/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (6件) を見る これは間違いなく名著。岩波ジュニア新書には時折「これはどう見ても大人向けではないのか?」と思えるものがまぎれ込んでいますが、書では司馬遼太郎作品などでは描かれない明治社会の暗部を「通俗道徳」をキーワードとしてみごとに活写しています。去年の年末に2018年に発売された新書ベスト5というエントリを書きましたが、去年これを読んでいたら確実にベスト1に推してましたね…… 明治社会というのは、実は社会的弱者、貧困者にたいしてとても冷たい社会でした。その証拠に、1874年に制定された「恤救規則」が救済対象としているのは、働くことができず困窮していて頼れる人が誰もいない独身者に限られていました。いわゆるワ

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    yaneshin 2019/01/10
  • 後醍醐天皇が明治維新に与えた巨大な影響を描く兵藤裕己『後醍醐天皇』 - 明晰夢工房

    後醍醐天皇 (岩波新書) 作者: 兵藤裕己 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/04/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 後醍醐天皇の評伝としては最も新しい。どうしても太平記のイメージに引きずられがちな人物ですが、書を読めば後醍醐という人がなにを目指していたのか、ということがかなりはっきりしてきます。 後醍醐天皇の理想とした政治とはつまるところ、天皇を中心とした中央集権的な統治です。これは宋学のイデオロギーに強い影響を受けたもので、親政を開始したころ日野資朝のような中国の新傾向の儒学を身につけた貴族を取り立てているところにもその影響がみられます。資朝のような儒教の教養を身につけた「士大夫」を使いこなして政治を行う、つまり日を宋のような官僚国家にすることが後醍醐天皇のめざすところです。後醍醐は同じく日野一族であり、やはり儒教の学識を持つ日野俊基

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    yaneshin 2019/01/08
  • 伊東潤『江戸を造った男』感想:川村瑞賢の仕事はもっと知られるべき - 明晰夢工房

    江戸を造った男 (朝日文庫) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2018/10/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 見事に生きるとはどういうことか、その答えのひとつがここにある。 河村瑞賢。教科書などで一度は耳にしたことのある名前だ。 その業績は教科書的には「西廻り航路を整備し、大和川などの治水事業にも取り組む」と一行で書いてすませることもできるが、これらの事業の困難さはただごとではない。 何しろ河村七兵衛は一介の材木商であって、物流にも治水にも素人だからだ。 だが七兵衛には「人を動かす」という、他の商人にはない特技があった。 これらの大事業には人材を適材適所に配置し、多くの人の利害を調整していくことが必要になるが、こうした仕事には七兵衛は最適の人物だった。 実際、佐渡では気難しい船大工と造船の交渉に当たり、越後高田藩では用水路建設に反対する百姓と

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    yaneshin 2019/01/05
  • 明晰夢工房選・2018年のおすすめ新書ベスト5 - 明晰夢工房

    今年もいろいろなを読みましたが、今年読んだではとくに新書が豊作だったので、2018年に発売された新書のベスト5を紹介します。このブログなのでどうしてもジャンルが歴史系に偏りますがそこはご容赦を。 呉座勇一『陰謀の日中世史』 saavedra.hatenablog.com 保元・平治の乱~関ヶ原の戦いに至るまでの歴史上の陰謀論を中世史の最新知見をもとに次々と論破していく。著者は『応仁の乱』ですっかり有名になった呉座勇一氏。『応仁の乱』は経緯そのものが複雑なので多少読みにくさはありましたがこちらはかなり読みやすく仕上がっています。とくに能寺の変の珍説奇説への批判はかなり力が入っているので、信長に興味のある方はぜひ一度手にとって見ていただきたいところ。 最終章の「陰謀論はなぜ人気があるのか?」も読みごたえがあります。陰謀論にはまる人に高学歴やインテリの人が少なくないのはなぜなのか、もこ

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    yaneshin 2019/01/03
  • 蜀という「ブラック国家」の実態を描く『劉備と諸葛亮 カネ勘定の「三国志」』 - 明晰夢工房

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    yaneshin 2019/01/01
  • キットカットに溝が刻まれているのはなぜ?『チョコレートの世界史 近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』でたどるチョコレートの歴史 - 明晰夢工房

    チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書) 作者: 武田尚子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2010/12/01 メディア: 単行 購入: 1人 クリック: 28回 この商品を含むブログ (26件) を見る これ一冊でアステカ帝国時代から現代までのチョコレートの歴史を気軽に学ぶことができるお得な。チョコレートとは言っても現在べられているような固形のチョコレートが生産されるようになるのは20世紀初頭からなので、こののかなりの部分が「ココアの歴史」ということになります。 ココアやチョコレート産業を発展させたのが近代イギリスの産業資家だったため、書で扱う内容もイギリスのチョコレートが中心となります。有名なキットカットもイギリスのロウントリー社が生み出したものです。あくまでチョコレート産業についてのなので、ベルギーのチョコレート工房で作られ

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    yaneshin 2019/01/01
  • 魏志倭人伝は日本を褒める根拠となり得るのか?という話 - 明晰夢工房

    togetter.com 百田尚樹氏の『日国紀』の内容があちこちで話題になっていますが、上記のまとめを読んで気になったことは、このが魏志倭人伝の記述を用いて日人を褒めているという点です。 倭国伝 全訳注 中国正史に描かれた日 (講談社学術文庫) 作者: 藤堂明保,竹田晃,影山輝國 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/09/13 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (6件) を見る 魏志倭人伝には、確かに倭人を褒めている記述が多く見られます。『倭国伝』のなかの魏志倭人伝の部分の和訳から引用すると、「倭人の風俗には節度がある」「女性はつつましやかで焼きもちを焼かない」「追いはぎやこそ泥がなく、争いごとも少ない」と、魏志倭人伝はかなり倭人に対して好意的です。人びとは立派な家に住んでいて、租税制度も確立しているなど、かなり文明的にすら思える倭人の姿が、ここ

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    yaneshin 2018/12/09
  • ゆうきまさみ『新九郎、奔る!』が掘り進む「室町時代という鉱脈」 - 明晰夢工房

    新九郎、奔る! (1) (ビッグコミックススペシャル) 作者: ゆうきまさみ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/08/09 メディア: コミック この商品を含むブログ (4件) を見る ゆうきまさみ氏の『新九郎、奔る!』1巻を読みました。 この作品の冒頭は、38歳になる伊勢新九郎(北条早雲)が伊豆の堀越公方の御所に討ち入り、いよいよ戦国武将としての活動を始める……というシーン。 この時点で38歳ということは、黒田基樹氏(真田丸の時代考証担当)による北条早雲は1456年生まれという説を採用しているということですね。 この説だと北条早雲は享年66歳ということになり、驚くほど長命というわけでもありません。当時としては十分に生きたでしょうが、言うほど「中高年の星」というわけでもない。 やはり戦国ものらしく、新九郎が国盗りを始めるところからスタートするということか、と思いつつページをめ

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    yaneshin 2018/11/17
  • 中世ヨーロッパの生活や服装・食事を知るためのおすすめ本20冊 - 明晰夢工房

    歴史関連のはどうしても政治史について書いているものが中心になりがちですが、幸い中世ヨーロッパ史については生活史についての著書も多く出版されています。これらの政治史を補完する内容として興味深いだけでなく、ファンタジー創作のための資料としても活用できるので、今まで読んで良かったについてまとめてみました。 1.図解中世の生活 図解 中世の生活 (F-Files No.054) 作者: 池上正太,福地貴子 出版社/メーカー: 新紀元社 発売日: 2016/10/06 メディア: 単行 この商品を含むブログ (1件) を見る 中世ヨーロッパの生活について知りたいならまずはこのです。封建制度の解説や中世の法律、刑罰などがまず解説され、農村や都市の生活についてもひと通りのことを知ることができます。聖職者の階級や吟遊詩人、流通と交易、中世の服装や事など、およそ知りたいことについてはほぼ項目が

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    yaneshin 2018/10/21
  • 「人生のネタバレ化」で「やりたいこと」という呪いが解ける人もいるかもしれない - 明晰夢工房

    minnanohimatubushi.2chblog.jp anond.hatelabo.jp ウェブ小説界隈でちょっと有名らしい人から、こういう言葉を聞いたことがあります。 「創作が苦しいんだったらやめたっていいと思いますよ。何も小説がすべてというわけではないですし。でも、苦しくてもあきらめずに何年も書き続ける人が書籍化して、成功していくんですけどね」 私はこの話を聞いたとき、ひどく違和感を持ちました。 何年もやり続けていてもプロになれない人なんていくらでもいるし、そもそも大して苦労もせずにいきなり書いた小説がそのまま書籍化する人だっている。頑張っていればいずれ成功できるなんて、それこそ公正世界信念というものではないのか。プロになれない人は努力が足りない?プロになった人だけが努力を評価されるというだけの話じゃないの? ……とまあ、いくつもの疑問が頭に浮かんだのですが、ここで書きたいのは努

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    yaneshin 2018/10/18
  • 「日本版マグナ・カルタ」六角氏式目、今川仮名目録をコピペした甲州法度……分国法から戦国大名の個性を描き出す清水克行『戦国大名と分国法』 - 明晰夢工房

    戦国大名と分国法 (岩波新書) 作者: 清水克行 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/07/21 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る これは久々に大当たりの新書。 戦国大名の特徴として、領国内にしか通用しない「分国法」を制定している、ということがよく挙げられます。有名どころでは今川仮名目録や甲州法度などをあげることができますが、これらの分国法の内容までくわしく知っている人は、必ずしも多くないかもしれません。しかし、ともすれば退屈なものと思われがちなこれらの法律の中身を検討してみると、そこには戦国時代の地域差や言うことを聞かない家臣に振りまわされる大名の苦労話、商業の捉え方の違いなど、極めて興味深い戦国時代の実相が浮かび上がってきます。これは戦国時代に興味をもつ方なら必読でしょう。 当主の愚痴がそのまま書かれている結城氏新法度 書では、まず分国法のなかでもマイナーな

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    yaneshin 2018/10/08