ここで1つ、地域の特性を知るために例を挙げてみよう。最近、米軍基地移転問題で社会をにぎわせた沖縄だ。沖縄県の1人当たりの県民所得は全国最下位で、全国平均の70%程度。また失業率は全国一高いといわれている。それでも沖縄に製造業がまったくないわけではないが、この調査ではサンプルが得られなかった。ただ、IT系では11件のサンプルが得られており、その平均年収は368万9000円。IT系だけの年収ランキングでは、30位と全体の中位につけており、長崎、熊本、岐阜を上回っている。 沖縄が地域IT産業のフロントランナーと目されるようになったのは、2000年ごろから。内閣府の沖縄総合事務局や県がグランドデザインを描き、従来の農水産業や観光業に依存しない自立した経済力を生み出すために、積極的に情報通信産業関連の企業誘致に動いた。2000年の情報通信産業の企業数が30社、雇用者数が8600人だったのに対して、2