不況になってくると、どこからともなく円安待望論が聞こえてくるものである。 曰く、日本はソニーやトヨタ自動車のような輸出産業が支えているし、多くの雇用は製造業の工場が生み出しているのだから、これらの企業が競争力を高めるために円を安くしなければいけない。 円安で輸出産業が盛り返すことにより、景気がよくなり失業が減る、という主張である。 本当にそうであろうか? 結論からいうと、答えは否である。 なぜなら日本にはユニクロやニトリやABCマートのようなたくさんの輸入産業もあり、これらの会社もまた、ソニーやトヨタ自動車と同じように、日本国民の生活にはなくてはならないものだからである。 これらの会社は海外の工場からモノを仕入れて日本で売っているので、円安になると、仕入れ値が上がってしまい、それは販売価格に転嫁される。 そうすると消費者は、モノを安く買えなくなる。 円安は輸出産業にやさしく、円高は輸入産業