アメリカの状況をみていると、日本の90年代を違った形で後追いしているようにみえる。いわば日本は、映画"Back to the Future"で未来にきたようなものだから、これからどうなるかも予測できる。今度の下院による金融危機対策の否決は、ドラスティックではあるが、日本のバブル崩壊初期に起きた拒否反応とよく似ている。 1992年の夏、私はNHKスペシャル「追跡・不良債権12兆円」という番組を担当し、金融業界の関係者に取材していた。その実態はこの公式の数字(グロスの額)よりはるかに悪く、公的資金の注入は避けられないというのが彼らの一致した見方だった。宮沢喜一首相は、この年の軽井沢セミナーで、興銀の中山素平などが設立に動いていた担保不動産の買い上げ会社に「公的資金を注入することにやぶさかでない」とのべた。 このとき関係者がみんな心配していたのは、日債銀が関連ノンバンクで1兆円を超える不良債