◇論争史を整理する良質な地図 どんなものであれ、「論争」を取り扱う際には注意が必要だ。論争史そのものを踏まえないと、周回遅れのコメントで議論を停滞させてしまう。論争を眺めるにも、一種の「土地勘」が必要だ。だから最初は、良質な「地図」に巡り合いたいと誰もが願う。しかし必ずしもそうはいかない。特に「…
いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話 著者:菊池 誠 出版社:筑摩書房 ジャンル:技術・工学・農学 いちから聞きたい放射線のほんとう [著]菊池誠・小峰公子 [絵]おかざき真里/原発事故と放射線のリスク学 [著]中西準子 東京電力福島第一原子力発電所における甚大な事故発生から3年が経過した。事故は大量の論点を放出し、私たちはそれぞれの立場に分断された。再稼働やエネルギー基本計画を巡っては、容認と反対のグラデーションの中でそれぞれの主張が続けられてきた。食の安全、居住基準、除染目標などについてもまた、それぞれの「見積もり」をめぐる衝突が生じてきた。 現状を安全と捉えるのか。危険と捉えるのか。被曝(ひばく)への漠然とした考え方は、科学的な理解とはまた別に、各人の身体的な感覚と密接に結びつく。事故直後、聞きなれない言葉が氾濫(はんらん)する中、細かいことを知る前に、自分の
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