ただそう訊かれたら、誰しも「前進」と答えたくなりそうです。これが心理ゲームの一節ならば、その後、司会者が、「はい、目の前は崖でした。南無阿弥陀仏……」で一同、笑いに包まれる、というオチかも知れません。 でも、笑ってすまないのは、これが、まぢかに迫った参議院選挙において、安倍首相ひきいる自民党のキャッチコピーであることです。理性や論理ではなく、人の直感にどことなく感覚的に訴える政治的駆け引きですね。 先日、そんな形のキャッチコピーが人心をつかんだ、とも言えそうな世界的政治ニュースがありました。イギリスで行われた国民投票の結果、同国がEU(欧州連合)を離脱することが決まったものです。投票前、英国のほとんどの知識人がEU残留を支持していたことに示されるように、EU離脱の支持には、論理らしい論理がありませんでした。しかし、蓋を開けてみれば、 EU離脱がわずかながら上回りました。英国在住の筆者も含め