上京のきっかけは、バンドの音源をレコード会社の人が聴いてくれたことです。それで東京に呼ばれて歌ったら、「君は声が大きいね。東京に来るかい?」といわれて。でも、5年くらい経ってもなかなか売れなかった。音楽ってひとつの作品に、メロディや歌詞だけでなく、楽器やアレンジ、それから制作費とか数字的なことも含めて、すごくたくさんの“要素”が必要なんです。 そんな生活をしているうち、“要素”を減らして、言葉だけを扱ってみたくなったんです。正直な話、能動的に動いたのは、歌が売れなかったことと全く関係なくはないと思います。そして、「それなら小説よりも詩だろう」と思い、読者だった月刊誌『ユリイカ』に電話をしたんです。とにかく書くための場所を確保しなくちゃ駄目だと思って。 そうしたら、「巻末にある投稿欄に作品を送って下さい」といわれたんですけど、扱いの大きさじゃなく、文字の大きさや書体の雰囲気が自分のイ