酒井道夫・沢良子 編 / 武蔵野美術大学出版局 / 135mm x 215mm / 160P / ソフトカバー / 本体価格1800円 建築家でありながら我が国では、桂離宮や伊勢神宮など「日本の美」の再発見者としてよく知られるブルーノ・タウト。ナチ政権下のドイツを亡命し、アメリカへの足がかりとして立ち寄った日本で彼は3年半もの日々を余儀なくされました。それは目的地への途上の不思議な時間であり、旅にも似ています。その、長くゆっくりした旅のような日本滞在中にもタウトは小型カメラを帯同しながら国内中を旅し、そこらを撮り歩きました。数十年のときを経て再発見された、ちょっとピンぼけな写真の数々は、タウトの評論とはひと味違った意外にも庶民の生活を興味の向くままに撮ったものでした。生前の渋谷のハチ公も、横浜のおでん屋もみんな旅人の好奇心により「発見」されているのです。この時代を知らない私たちの眼は、旅人