いつもながらの周回遅れではあるが、有村が「壁に叩き付けた」というので早速1〜3巻を読んでみたところ、思いのほか面白かったw ラブコメの心理描写も随分と精緻になったものだ。特にこれといった取り得のない主人公に突然に訪れるモテ期、特段の理由もなく何故かそいつに惚れているヒロイン、いずれの点においてもラブコメの伝統的なパターンをきちんと踏襲している。違うのは女性の心理描写がやけに細かいところで、男が描いているのなら凄えなと思ったが案の定、女だった。逆に言えば男の心理の方をこそよく描けていると言える。もしも男の編集者との間で男女其々のキャラクターの心理描写を侃侃諤諤と議論しながら作品を作っているとしたら、忽ち相互理解が深まって結婚してしまうのではないかと妄想したほどであるが、主人公の男は自罰的になることを免罪符に現実逃避を繰り返しているだけだから案外簡単で議論するほどのことではないのかもしれない。