「オタク」とは何か 『新世紀エヴァンゲリオン』とは「オタクの実存」を描くメタアニメである。ただし、それは単純にオタクを批判するだけのものではない。庵野秀明自身がアニメ業界屈指の極め付きのオタクである。彼は結婚してからも戦隊モノや特撮を熱心に観ているし、アニソンを熱唱する。だから、ここでいう「批判」とは、外から一方的に断罪するのではなく、オタクである庵野秀明自身による内省と自問自答と葛藤が形を変えたものという側面があると理解したほうがいい。 とはいえ、若い読者には、ここで言う「オタク」批判はピンと来ないかもしれない。現在は、アニメやマンガは、ポップカルチャーであり、メジャーな大衆文化となっている。日本の主要文化の1つと言っていいぐらいだ。現在の用語法における「オタク」とは多くの場合、そのようなアニメやマンガが好きな人、というぐらいに薄まった意味になっている。 だが、言葉や概念は、時代や状況の
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