慶応義塾の福沢諭吉や同志社英学校の新島襄は(批判すべきところはあったとしても)偉大な人物だったと思うが、東京専門学校の大隈重信はどうなのだろう。2回も総理大臣を務めた大隈には少なくとも「在野の精神」なるものはなかったはずだし、あの悪名高い「対華21ヶ条要求」も大隈内閣のときに出されている。時の外相は加藤高明だったが、加藤は総理大臣であったときに治安維持法を成立させたわけで、加藤にしろ加藤と親密な関係にあった大隈にしろ、私はどうも尊敬の対象とすることはできない。東京専門学校を建てていなければ、現在、大隈の評価はここまで高まってはいなかったのではないか。 早稲田といえば、戦後に総理大臣を務めた石橋湛山は、優秀なジャーナリストであり、またリベラルな平和主義者だった。「戦前は自由主義者で戦後はケインジアン」という転向も、それほどマイナスには思えない。あの時代にケインズ政策を採用したのはそれほどの愚