京都大学大学院の西浦博教授が10月7日、甲府市で開催された第81回公衆衛生学会総会で新型コロナウイルス感染症の中長期のリスク分析について講演を行った。...
「国家として感染症の危機管理を直視することができず、また、残念ながら感染症疫学者の育成不足という国策の誤りのツケを払わされることになった」 新型コロナウイルス感染症への我が国の対応を、「まえがき」でこう振り返る書、『感染症疫学のためのデータ分析入門』(金芳堂)が10月、上梓された。著者は、京都大学大学院教授の西浦博氏が率いる研究室のメンバーだ。同大大学院医学研究科の社会健康医学系専攻の専門職大学院課程のコア科目「感染症疫学」の教育内容に準拠して執筆した入門書にあたる。 「感染症データとの向き合い方を根本的に変える書を目指している」と語る西浦氏に、本書上梓の狙いのほか、新型コロナをめぐる昨今の情勢についてお聞きした(2021年11月5日にインタビュー。全6回の連載。情勢を鑑み、Vol.5から連載開始)。...
【序文】 皆様よくご存じの通り大阪府での新型コロナウイルス感染症感染者数が急増しており、医療体制に大きな影響を与えております。4月20日に大阪府は緊急事態宣言の発出を政府に要請しました。私は新型コロナウイルス感染症に関しては全く専門家ではありませんが、今回がん専門病院である当院(大阪府立病院機構大阪国際がんセンター、500床)でも新型コロナウイルス感染症重症者を受け入れることになったこともあり、大阪での感染状況など含めて記事を書かせていただきました。 これまで当院で積極的な受け入れを行ってこなかった理由としては、がんセンター特有の患者の易感染性と重症化のリスクのためでした。当センターは血液内科に関しては現在では西日本では最大規模の同種造血幹細胞移植施設となっており、移植以外にも化学療法に伴う免疫不全患者や、血液内科以外でも他院ではできないような大手術(頭頸部、食道、肝胆膵)後の患者が多数で
はじめに 1月21日にJournal of Clinical Medicineに掲載され、報道でも取り上げられた私たちの研究〔Anzai & Nishiura(2021)〕について、明治大学の飯田泰之さんと経済産業研究所の中田大悟さんの2人からSNSを通じて実名でコメントをいただきました(元論文は、こちら)。SNSでは科学的議論以外に飛び火しない建設的な議論をすることが難しいですし、今私は緊急事態宣言下のデータ分析で大変多忙にしています。論文の作法としても、SNSは場外戦のようになってしまいます。ただし、日本で期せずして、一定以上に報道が広がりましたのでSNSで話題になりました。このまま放置するよりも、私が詳細を広くお返事した方が、物事が正常に進むと思って以下を執筆することとしました。 最初に申し上げますが、今回の私たちが発表した(疫学研究領域ではエビデンスレベルが低いと言われる)記述疫学
がんの患者団体である一般社団法人全国がん患者団体連合会が12月30日、緊急オンラインディスカッション「コロナ下の日本のがん診療・米国のがん診療」を開催し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、がん専門病院でもコロナ病院を設けるなど厳しい対応を迫られているほか、医療者が精神的に追い込まれている実態などを話し合った。 がん研有明病院(東京都江東区、686床)は日本のトップクラスのがん専門病院だが、12月24日から1病棟40人の患者を他病棟にうつして、COVID-19患者の受け入れを始めた。同病院副院長・乳腺センター長・感染症科部長の大野真司氏は、現時点ではがん診療を制限していないものの、COVID-19対応にスタッフを充てたことから、がん診療の担当部署の負担も増したとし、今後さらに感染拡大が進んだ場合の影響を懸念した。「もし欧米並みの感染拡大が起きたら、今でも大変なのにいっ
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