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ブックマーク / brevis.exblog.jp (26)

  • トランスフォーメーション(変革)を可能にするために | タイム・コンサルタントの日誌から

    去年の2月上旬頃だったが、ある証券会社の営業マンの訪問を受けた。もちろん金融商品の売り込みに来た訳だ。ちょうどそのころ、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が3700人の乗客を乗せたまま、横浜港の外に釘付けになっていた。わたしは、武漢で発生したウィルス危機は中国の外にも広がって、国際的に経済の問題をひき起こすのではないかと、懸念を口にした。すると、くだんの営業マン氏は笑って、「NYダウは史上最高値ですよ」と答えた。 わたしは結局、彼のすすめる商品には手を出さなかった。2月下旬を過ぎ、3月に入ると欧州に都市封鎖(ロックダウン)が広がり、経済的影響は明らかだった。株価は下がり、いろいろなところに損失が出た。航空分野を筆頭に、飲・サービス業など多くの分野の企業業績が低迷した。やれやれ、言わんこっちゃないと、わたしは内心考えた。

    トランスフォーメーション(変革)を可能にするために | タイム・コンサルタントの日誌から
    yuki_furu
    yuki_furu 2021/01/12
  • IT、OT、ET、そしてマネジメント・テクノロジー : タイム・コンサルタントの日誌から

    前々回、そして前回と続けて、サイトのテーマである『マネジメント・テクノロジー』の領域について、あらためて考えてきた。 マネジメント・テクノロジーは、目に見えにくい領域における技術である。わたし達の文化は、目に見えるもの(五感で感じられるもの)に対しては細部にまで徹底してこだわるが、見えない物事や抽象的概念には、いたって無頓着、という傾向が強い。 たとえばカレー屋さんの場合、料理の味と、その材料やレシピには研究を怠らない。しかし客の注文をどうとってどういう順序でデリバリーするか、何をストックし作る量をどう予測するか、といった店を運営する過程や仕組みには、なりゆきで応対する。これが多くの店のあり方だろう。 カレー料理法は「固有技術」で,店の運営の仕組みは「管理技術」(マネジメント・テクノロジー)に属する。もちろん固有技術(味)は、いわばビジネスのベースで、これが不味ければ商売は成り立たない

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    yuki_furu 2019/10/21
  • 生産マネジメント手法の系譜を考える(1) | タイム・コンサルタントの日誌から

    「ぼくら、生産管理について、少し勉強したいと思っています。ただ、どこから手をつけていいか、よく分からなくて。教科書もあるような、ないような、Amazonとかで探せば、山のように候補は出てくるんですが、どれが良いのか迷ってしまいます。また逆に、自分たちの社内にはあまりそういう資料はなくて。」 --なるほど、生産管理の勉強ですか。皆さんは受託開発のシステム・インテグレーターにお勤めですね。すると、製造業向けのシステム開発に取り組まれるんですか。生産の実務を知っているITエンジニアは少ないので、勉強されるのはいいことですね。 「いえ、少し違うんです、佐藤さん。たしかにぼく自身は今、製造業向けの仕事をしていますが、業務分野は会計システムですし、他のメンバーも、製造業はあまり経験がないんです。ぼくらの勉強会は、しばらくプロジェクト・マネジメントについて勉強してきました。ご存知でしょうが、ITプロジェ

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    yuki_furu 2018/07/28
  • ラインビルダーとは何か、なぜ今、必要なのか | タイム・コンサルタントの日誌から

    平田機工という会社を初めて訪れたのは、一昨年の夏だった。熊の企業で、熊市の社の近くに、いくつもの工場が隣接・点在している。いや、当は東証に上場している全国区の企業であり、年商はその当時すでに600億前後あったと思う。だが、3年前の熊地震を機に、わざわざ社を東京から発祥の地・熊に戻していた。紹介いただいたのは、野村総研でサプライチェーンやロボティクス専門家として著名なF氏である。 平田機工は、業種分類的には、機械メーカーということになるのだろう。事実、自社で機械を設計製造している。だが、その当の業態を表すならば、「ラインビルダー」という言葉がふさわしい。ラインビルダーとは、高度に自動化された製造ラインを、機械も制御もITも含め、丸ごと一式作って、顧客の工場に納める仕事である。 たとえば、あの米国の自動車会社GMの最新式製造ラインを、平田機工は熊の工場で作っている。米国から技

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    yuki_furu 2018/06/20
  • エンジニアリングと技術とインテグレーションと | タイム・コンサルタントの日誌から

    以前、「英国史上、最も偉大な技術リーダーに学ぶべきこと」https://brevis.exblog.jp/24622591/(2016-08-28)と題する記事で、イザムバード・ブルーネルのこと書いた。19世紀前半のイギリスで活躍した、傑出した技術者だ。たまたまロンドンに来る用事があったので、ブルーネルが作ったパディントン駅を見た。とても美しく、かつ機能的な、優れた建物である。改良の手は入れているだろうが、建築物としての骨格は、おそらく最初のままだと思われる。実物を見て、あらためてブルーネルという人の天才的なセンスを感じた。 そのパディントン駅から多少歩いた公園・ハイドパークの南側に、「アルバート記念碑」が立っている。大英帝国の最盛期を作ったビクトリア女王が、亡き夫君のアルバート公を記念して建造を命じた、巨大なモニュメントだ。こちらはネオ・バロック様式で、すごく美的だと思うかどうかは、見る

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    yuki_furu 2018/06/20
  • プロジェクト計画のロジックとは何か 〜 やはりExcelで工程表を書いてはいけない (2) | タイム・コンサルタントの日誌から

    前回の記事「ダイレクト・ガントチャート方式の問題点」http://brevis.exblog.jp/26231556/ で、世間ではそもそも「WBS」とか「Activity」という概念のレベルで、誤解や混乱があると書いた。 たとえば、WBS=「ガントチャートの線表に引いた線の集合」だ、と理解している人達を、よく見かける。ためしにネットで、「WBS スケジュール」の2キーワードで検索をかけてみると、よくわかる。上位の検索結果に、こういう説明が出てきたりする:

    プロジェクト計画のロジックとは何か 〜 やはりExcelで工程表を書いてはいけない (2) | タイム・コンサルタントの日誌から
  • ダイレクト・ガントチャート方式の問題点 〜 やはりExcelで工程表を書いてはいけない (1) | タイム・コンサルタントの日誌から

    このほど、自分で「マイ・ベスト・セレクション」なるを編んでみた。過去17年間に書いてサイトに公開した数百の記事の中から、自分が気に入っているベスト12を選んで、ePub形式の電子書籍をつくってみたのだ。まあ書籍といっても、素人のつくった手製(手編み?)ので、いってみればβバージョンではある。ベスト・セレクションの中には、アクセス数の多かった記事も入れたが、目立たないけど愛着のある記事も選んだ。多少は文章に手を入れたつつも、なるべく発表当時のスタイルを残している。 ところで、わたしのサイトには、アクセス数で言うとダントツ1位の記事がある。「Excelで工程表を書いてはいけない」(http://brevis.exblog.jp/9052344/)という、2008年11月24日の記事だ。もう9年前の記事だが、いまだに毎週のBlog記事ランキングのトップに位置し続けている。 そして、実を言うと

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    yuki_furu 2017/12/05
  • 研究開発戦略へのシステムズ・アプローチと、モノづくり大国の貧困 | タイム・コンサルタントの日誌から

    「日は、ものづくり大国だ」という言い方を、よく耳にする。モノづくり大国とはどういう意味なのか、わたしは正確な定義を知らない。GDPの中で製造業の占める割合が、すでに1割台に落ちている国に、ほんとに適切な形容なのかとも思う。だが、あまり正確に定義できる概念ではないのかもしれない。モノづくりが盛んで秀でているなら、「日技術大国だ」という言い方だって、同じくらいしても良さそうだ。しかし、なぜかそちらはあまり聞かない。そういう実感があまりないのだろうか? むろん日技術者のレベルは高い。そのことは、いろいろな国で仕事をしてきたエンジニアリング会社の人間として、証言できる。それでも「技術大国」という気がしないのは、なぜだろうか。技術大国という言葉でふさわしいのは、現在、どこの国だろうか。技術大国という以上は、少なくとも、技術者の待遇がよく社会的にも尊敬されていることが、必要条件だろうが。 1

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    yuki_furu 2017/05/26
  • クリスマス・メッセージ:見えるコストと見えない価値 | タイム・コンサルタントの日誌から

    わたしは現在、勤務先でのフルタイムの仕事のかたわら、大学で少しばかり授業を持っている。夏学期は東大の大学院、冬学期は法政の学部3年生に、それぞれ毎週プロジェクト・マネジメントを教えてきた。今年はそれに加えて、静岡大学の社会人大学院(MOT)も集中講義を冬に持つことになった。さらに単発的に大学や企業、JAXAのような研究機構などに講師として呼ばれている。科目はプロジェクト・マネジメントが中心だが、生産マネジメントやBOM/部品表などもある。そして、自分が主宰する研究部会でも、「PMの自己育成のシステム」の構想を共同で作り始めたりと、なぜかわたし自身にとって「教育の当たり年」みたいな年だった。 しかし、それらの中でも、大学の学部生にプロジェクト・マネジメントを教えるのは飛び抜けて難しい仕事だ、というのが実感である。理由は受講生たちの学力とか理解力の問題では、たぶん、ない。そもそも人と働いた経験

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    yuki_furu 2016/12/27
  • ムリ・ムラ・ムダ 〜 どれが一番いけないか? | タイム・コンサルタントの日誌から

    トヨタ生産方式では、周知の通り「働きに結びつかない動きをムダと呼ぶ」と定義する。そして徹底したムダ取りを行っていくのだが、このとき、「ムラがあるから、ムリをする。ムリをするから、ムダが出る」という因果関係で、物事を見る、と経験者からきいたことがある。つまり、なぜムダが生じるのか、という問題について、非常にジェネラル(汎用的)なレベルで

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    yuki_furu 2016/12/18
  • なぜ、製造業のIT化が進まないのか? 〜お金をちゃんと投資しよう | タイム・コンサルタントの日誌から

    わたしが中小企業診断士の資格を取ったのは、もう20年以上も前のことだ。その頃、診断士の試験は「鉱工業」「商業」「情報」の3コースに分かれていた。どの試験を通っても、おなじ診断士の資格を名乗れる。わたしは情報系を選んだ。「情報」コースには、さらに専門試験科目が「流通情報」と「生産情報」の二種類あったので、わたしは「生産情報」を選んで試験を受けた。工場づくりをビジネスとするエンジニアリング会社に勤める人間としては、当然の選択であった。 ちなみに診断士試験に「情報」コースができる前は、「鉱工業」と「商業」の二種類しかなかった。これはちょっと不思議である。だって、まるで中小企業には製造業と流通業しかないみたいではないか(鉱業も入っているが、石炭産業の盛んだった戦後ならいざ知らず、鉱業にはほとんど大企業しか残っていない)。しかし、たとえば運送業にも建設業にも、中小企業はたくさんある。それなのに専門試

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    yuki_furu 2016/11/28
  • 経験から学びすぎることの危険 ~ゆらぎある事象の原因分析について | タイム・コンサルタントの日誌から

    1973年、第四次中東戦争が勃発した。イスラエルに対してアラブ国側が先制攻撃をしかけて始まったこの戦争は、緒戦段階でエジプト軍の地対空ミサイルが効果を上げ、イスラエル空軍機を多数撃墜した。戦争は結局、米国の後押しを得たイスラエル側が、ある程度まで押し返して、わずか2週間ほどで終わる。ただ、この時の余波で第一次石油ショックが起こり、油価の暴騰とエネルギー供給危機に、日を含む西側諸国は大きな動揺を経験する。 イスラエルの側も、それまで過去の戦争ではアラブ側を圧倒していたのに、大きく面目をつぶした。とくに空軍の損失は甚大で、しかも損失の出方は偏っているようにみえた。たとえば、同じ基地から飛び立った二つの飛行中隊のうち、片方は4機を失ったが片方は無傷だった。このため、損害を被った飛行中隊のどこが悪かったのか見つけようと、調査が開始されていた。しかし一方の中隊がとくにすぐれていると考えるべき理由は

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    yuki_furu 2016/06/28
  • プロジェクト・マネジメントの目的とは何か | タイム・コンサルタントの日誌から

    中堅エンジニアが壁を破って成長するには、何を学ぶべきか。そういう問いに関連して、ここ何回か書いている。初級の仕事を一通りおえて、とりあえず一人前のことはできるようになっても、その先にしばしば壁がある。そこを乗りこえて面白い仕事をしていくためには、もう少しマクロにものを見て、人を動かせるようになっていく必要がある。 今年の1月に、静岡大学と浜松ソフト産業協会の共催によるプロジェクト・マネジメント講座に呼ばれて、初日の講師を務めさせていただいたときも、その話から始めた。集まった方はほぼ全員がIT技術者だった。IT分野は勉強会も盛んで、知識欲に燃えた熱心なエンジニアも少なくない。わたしはたずねた。 「この中で、現在プロマネの仕事をされている方はいらっしゃいますか?」 手を上げた方は全体の1/3もいなかった。ある意味、予想通りではある。プロマネの仕事をばりばりこなしている人は、こうした講座を聴きに

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    yuki_furu 2016/05/26
  • 『なぜ』からはじめよう - 仕事の目的を設定する | タイム・コンサルタントの日誌から

    たしか林達夫の西洋史に関する論考だったと思うのだが、「古代ギリシャは豊かなイメージがあるが、社会的な生産性はじつはかなり低かった。ギリシャ社会を支えていたのが、奴隷労働だったからだ」という説明を読んだことがある。林達夫はわたしの尊敬する思想家で、平凡社の『世界大百科事典』の編集長をやった博学の人だ。 人を動かすということが、技術リーダーとして面白い仕事をする必要条件だと、前回書いた。では、具体的に、人は何で動くのだろうか? 一番すぐに思いつくのは、給料などのお金だろう。お金という報酬で、人を動かす。会社というのは、そうなっている。業務上の命令通りに働けば、給料がもらえる。上司の覚えも良くなる。そむけば、叱責されて給料が下がったり、首になったりするかもしれない。つまりアメ(給料・昇進)と、ムチ(罰則・失職)で動かす訳だ。 ここで人を動かすために使われているのは、「強制力」(権力)である。強制

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  • ロボットとして生きないために | タイム・コンサルタントの日誌から

    フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(1968年)は、映画「ブレードランナー」の原作にもなった名作だ。小説の舞台は『最終世界大戦』後の、人間以外の生物がすべて稀少となった2020年の地球(あとたった5年だ)。主人公リックは、逃亡したアンドロイドを破壊してお金を稼ぐ、賞金稼ぎである。この時代、人間はアンドロイドを使役しながら、なんとか社会を維持している。アンドロイドは機械製だが、人間そっくりの外観と、知性、そして意思までを持つ。ただ一つ違うのは、アンドロイドには感情が全く無い点だった。主人公リックは、火星から逃亡してきた6人のアンドロイドを見つけて破壊し、賞金を得ようとする。彼はその賞金で、物の生きた羊を買うのが夢なのだ。生物が稀少なこの地球では、ふつうはロボットの動物しか飼うことができないからだった・・。 この小説の妙味は、アンドロイドを識別するのに、

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  • 書評:「『戦略』決定の方法 〜ビジネス・シミュレーションの活かし方」 川島博之・著 | タイム・コンサルタントの日誌から

    「戦略」決定の方法 〜ビジネス・シミュレーションの活かし方(Amazon) 「きみ。インドは経済が急成長しているが、水不足で困っているという話だ。特に南インドはひどいらしい。我が社の水ビジネスにとって南インド市場は有望だ。ついては現地に飛んで市場戦略の提案書をつくってくれ。」 そう、上司が言い出したら、どうするか。深く考えてのことではあるまい。きっと今朝、新聞で読んでの思いつきだろう。でも、上司の命令は命令だ。しかし南インドとなると、ネットでも屋でもろくな情報は手に入らない。現地を見るのは鉄則だが、行き当たりばったりでは自分の目に見えた程度のことしか分かるまい・・ こういうとき、どうすべきかを、書は順を追って丁寧に教えてくれる。すなわちシステム分析とシミュレーションを用いた、戦略決定の方法である。手順としては、次のようになる(p.12-22)。 (1) 目的を一つに絞り、数量化する 南

    書評:「『戦略』決定の方法 〜ビジネス・シミュレーションの活かし方」 川島博之・著 | タイム・コンサルタントの日誌から
    yuki_furu
    yuki_furu 2015/03/21
    ジャイルズ・フォーデン『乱気流』(新潮文庫)が類似のテーマを語っていて興味深い
  • 稼働率100%をねらってはいけない | タイム・コンサルタントの日誌から

    多くの製造業においては、工場の稼働率が、重要な管理指標として今も使われている。3週間前のエントリ「原価の秘密 - なぜ、黒字案件だけを選別受注すると赤字に陥るのか 」(2014/07/06)でも説明したように、製品の個別原価を計算する際、材料費や労務費などの他に、製造機械の使用時間に応じた費用を含めるのが普通だ。その製品の加工作業で、製造機械が何時間必要だったかをベースに、機械のコストをチャージする。いわば“機械の使用料”だ。 個別の機械1時間あたりの使用料単価を『機械賃率』と呼ぶが、これは各機械の年間の維持費用(減価償却費等)を、年間の実稼働時間で割って計算する。機械の遊んでいる時間が多いほど、実稼働時間は減るから、同じ作業をしていても原価が上がる、というのがふつうの会計の仕組みだ。だから、製造業では稼働率を上げるべく、あれこれと努力するという訳である。 そして、前回のエントリを読まれた

    稼働率100%をねらってはいけない | タイム・コンサルタントの日誌から
  • とれるだけ仕事をとってはいけない : タイム・コンサルタントの日誌から

    最初に、損益分岐点の説明からはじめよう。企業は、製品やサービスを売って売上を得る。しかし、世の中にタダの物はないので、そこには必ず費用(原価)が発生する。その費用が製品の販売数量に単純に比例する場合、企業は売上に比例した利益を得ることになる。この関係を図(a)に示す。横軸は、売上である。工場の視点から言うと、売上向上すなわち稼働率向上を意味するから、横軸は稼働率と見てもよい。縦軸は金額で、実線が売上高を、点線が費用を示す。費用は純粋に、売上高に比例する。これを変動費ともいう。売上に伴って、変動するからである。たとえば製品を作るのに必要な原材料の購入費がそうだ。あるいは、製品を加工するための外注費などもそうだ。 ところが、企業にはこれとは別に、売上高にまったく関係なく、固定的に発生する費用がふつうある。これを固定費という。その典型例は、設備機械の減価償却費である。あるいは、従業員の給料なども

    とれるだけ仕事をとってはいけない : タイム・コンサルタントの日誌から
  • リーダーは組織の主人か? | タイム・コンサルタントの日誌から

    年末、友人に誘われてコンサートを聴きに行った。曲目はバッハの「クリスマス・オラトリオ」。気鋭の指揮者の元、オケと合唱団が一丸となり、複雑な後期バロックの音楽をきびきびとリズミカルに歌いこなしていく。友人はその合唱団でバスを歌っているのだった。長大な曲なのに長さを感じさせない、良い演奏だった。会場を埋め尽くした聴衆も、音の響きに満足しているようだった。 ところで聴いている内に、ちょっと妙な感想が心に浮かんだ。この演奏会は、たしかに指揮者がリードしている。だが、指揮者が主人なのだろうか、それとも合唱団が主人なのだろうか? 指揮者は、プロの音楽家だ。対する合唱団は70人以上いたが、アマチュアだ。舞台に乗れるかどうかは、オーディションをして、指揮者が決めているという。だが、会場の聴衆のほとんどは、この合唱団員の人たちが知り合いなどに声をかけて集めたはずだ。わたしもその一人だった。その動員力はさすが

    リーダーは組織の主人か? | タイム・コンサルタントの日誌から
  • R先生との対話 — 受注ビジネスにおける顧客満足とは何か | タイム・コンサルタントの日誌から

    ——B2Bの受注ビジネスにとって、顧客満足とはいったい何を意味しているのでしょう? わたしは、久しぶりにお会いしたR先生にたずねた。R先生は半ば引退した経営コンサルタントで、人生の大先輩である。R先生が不思議そうな顔をされたので、わたしは続けた。 ——ご存知の通り、わたしの勤務先はエンジニアリング会社で、製造業向けに工場やプラントを建てるプロジェクトが主な商売です。仕事を受注してから、工場が最初の製品を作れるような状態になるまで何年もかかります。大勢の人間がかかわり、お客様だってずいぶんいろいろな部門の方が関わります。工務、設計、製造、保全、製品開発、購買、法務、セールス・・。このうちメインの担当部門は工務部門と購買部門ですが、工務部門はさらに機械・建築・土木・化工・電気・制御・ITという風に専門分化しています。とくかく、一口に『顧客』といっても、関係者が非常に多いんですね。 「結構じゃな

    R先生との対話 — 受注ビジネスにおける顧客満足とは何か | タイム・コンサルタントの日誌から