WTOの新ラウンドが農業分野を巡って難航するなど、相変わらず迷走を続けている日本の農業問題だが、そもそも日本が抱える農業問題とは何であるのか、また、世界の農業問題が抱える根元的な要因とは一体なにかについて、山下一仁上席研究員にお話を伺った。 RIETI編集部: 日本の政策決定システムの何が問題点なのかをお聞かせ下さい。 山下: 今の日本の農業を説明するには、やはり戦後どういうふうに日本の経済が変わってきたのかというところから説明したほうがいいと思います。日本が敗戦し、GHQが来て占領政策が始まったわけですが、その中の1つには財閥解体があった。そしてもう1つ、民主化政策として大きなものに、農地改革、農地解放があります。これは、いわゆる小作地のほとんどをただ同然の価格で政府が強制的に買い上げて、ただ同然の価格で小作人に譲り渡した。そこが今の農業のベースになるわけです。 民主化政策というのは、産