篠原愛展が銀座のギャラリーQで開かれている(9月6日まで)。 若い娘の体の傷口から植物が生え、金魚がめり込んで血が流れている。水中のようにも見えるし、地上のようでもある。もう1枚の作品では、内緒話をしている少女たちの前に吊り下げられた金魚の体が激しくちぎられている。筋肉や内臓や血管が長く線になって伸びている。 篠原愛は不思議な絵を描いてきた。描写力が見事でイメージが独創的だ。若い娘たちが傷ついている。なぜこのように傷つけられているのか。彼女のシュールリアリズムは高踏的なそれではなく、現実から芽生えている。一昨年亡くなった石田徹也と共通するところがあるが、石田がいつも自虐的だったのに対して篠原は傷を見据えている。そして篠原の大きな特長は彼女の絵の美しさだ。絵として美しいことだ。 この完成度の高さで篠原は1984年生まれ、まだ24歳なのだ。おそるべき早熟! 技術の高さとイメージの独創性で群を抜