何だか騒ぎが大きくなって「いや面白いけど大絶賛とかされるもんじゃないよこれ」ってな感じが拭えないです『キック・アス』。監督はマシュー・ボーン(『スナッチ』ガイ・リッチーと組んでたプロデューサー)監督作は『レイヤー・ケーキ』『スターダスト』。 マシュー・ボーンという人のファンタジーはとにかく境界が曖昧で、その理由はどちらの世界の人間も狂って見えるからで、どちらの世界が狂ってるのか次第に分からなくなってくるんです。象徴的なのは船長役のロバート・デ・ニーロ。「俺は船長らしく、男らしくしないといけないのに、綺麗な服を着るのが、女装が好きで好きでたまらないんだ」という告白を聞いた瞬間、「あれおかしいな。やってることはキチガイなのにひどく真っ当な葛藤抱えてやがるぞこの変態」とか思えてしまうのです。その逆転が奇妙な爽快さを生んじゃうわけで。あ、死人が出るとオーディエンスが増えるという演出は大爆笑。楽しそ