16日に起きたロシア警備艇によるカニ漁船の銃撃・拿捕事件については、新聞等で報道されている事以上の詳細が分からないのでコメントは控えたいが、一つ気になっているのは事件の背景にあるオホーツク海のカニ漁について触れている記事をほとんど見かけない事である。 そうしたことから、この背景であるオホーツク海のカニ漁について少し書いてみたい。 この海域は未だ国境線が画定されていないこともあり、常に拿捕(だほ)と密漁が繰り返されてきた海だった。しかもこの海域は豊富な水産資源があるものの荒天が多く水温は極端に低く、普通に漁をしていても死と隣り合わせの海なのだ。さらに問題をやっかいにしていたのは密漁の裏に日露ともに水産マフィアや暴力団が仕切っていたことである。彼らは国境警備隊や政治家にまで繋がりをもち、それによる不穏な事件は後を絶たなかった。2002年には密漁を取り締まっていたロシア国境警備隊ユジノサハリンス