「なぜ、いまこそ俺を使わないんだ」 夜の酒場、静かに語る男がいた。 その男の名は、猪木。伝説的なプロレスラーだった、参議院議員である。 「燃える闘魂」とまで称された男も、75歳。大きな背中が少し、肩を落として見える。 それでも「ヒーロー」たらんとする男は、世界という名のリングに、政治家として最後となるかもしれない戦いを挑もうとしている。 その男が何を目指し、どこに行こうとしてるのか。いまこそ、「政治家・猪木」番記者として、その姿を伝えたい。 (政治部野党担当 稲田清) なぜ、私を使わないのか その思いが溢れ出たのが、6月19日の外交防衛委員会。彼は静かに手を挙げた… そして静から動へ。突然の雄叫びから始まった質問。 かつては「何が起きたのか」と大臣たちを驚かせたこのフレーズも、もう周囲の議員たちはすっかり慣れてしまった。 百戦錬磨の舌を持つ議員たちの中にあって、彼の質問はとつとつとし、決し