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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (380)

  • 紛争と感染症の切っても切れない関係──古くて新しい中東の疫病問題

    サウジアラビアは3月4日にメッカへの巡礼を禁止した(写真はその前日3日のメッカの巡礼の様子) Ganoo Essa-REUTERS <新型コロナウイルスの感染が広がる今こそ、国際的な協調が求められる時だが、中東では歴史的に国際政治と感染症が密接に関係してきた> 新型コロナウイルスの感染拡大が、世界中を恐怖に陥れている。今やパンデミックの中心は欧米諸国に移った感があるが、東アジアでの発生から欧米へと移行する過程で、中東でも感染拡大が止まらない。 中東で最初に感染者が出たのは2月14日、エジプトにおいてである。これはエジプトを訪問した中国人から感染が広がったものだった(3月19日現在の感染者数210人、死者4人以上)。3月に入ると、ナイル・クルーズで観光客の間に拡大した感染が日にも広がった。アジア発の感染という点では、イスラエルでの例がはっきりしている。2月21日に「ダイヤモンド・プリンセス

    紛争と感染症の切っても切れない関係──古くて新しい中東の疫病問題
  • キューバが「奇跡の新薬」と医師ら400人を世界に派遣、新型肺炎治療を支援

    緊急支援のため一足先にイタリアのミラノに到着したキューバの医療チーム(3月22日) Daniele Mascolo-REUTERS <「医療先進国」キューバの薬や治療を試したい15カ国からすでに打診があったが、トランプアメリカだけは支援を拒否。対キューバ経済制裁を復活させたための意地か> キューバは新型コロナウイルスへの有効性が期待される「奇跡の新薬」を届けるため、世界中に医療チームを派遣する。 この新薬はインターフェロン・アルファ-2Bリコンビナント(IFNrec)という抗ウイルス薬。キューバと中国の研究チームが共同で開発した。今年1月から中国で活動してきたキューバの医療チームは、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)克服のため世界各地でこの薬を用いた治療を行う。世界全体で新型コロナウイルスの感染者は3月27日時点で累計44万人を上回り、死者は2万人を突破した(一方、回復した人

    キューバが「奇跡の新薬」と医師ら400人を世界に派遣、新型肺炎治療を支援
  • 新型コロナウイルスにジェームズ・ボンドも倒れる? 新作から映画祭までコロナショックに飲み込まれた映画界

    『NO TIME TO DIE』の宣伝は既に昨年末から始まっていたが……。写真は昨年12月4日ロンドンに登場した同作のポスター Lisi Niesner - REUTERS <007もミッション・インポッシブルも、見えないウイルスに屈してしまうのか> 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、収束するどころか感染は拡大するばかりだ。毎日のように更新される悲惨なニュースに心も滅入ってしまう。こういうときこそ、エンターテインメントのパワーが必要なのだが、残念なことにコロナウイルスの影響は世界規模で映画界にも影を落とし始めている。 日でも根強い人気がある「007ジェームズボンド」シリーズ25作目となる新作『NO TIME TO DIE』が、コロナウイルスの影響で公開延期されることとなった。当初3月末にイギリスで、その後4月上旬にアメリカ等各国で公開予定だった。 しかし、コロナウイルスの感染が世

    新型コロナウイルスにジェームズ・ボンドも倒れる? 新作から映画祭までコロナショックに飲み込まれた映画界
  • 話題作『レ・ミゼラブル』のラジ・リ監督が語るフランスの現実

    映画『レ・ミゼラブル』の物語では、犯罪防止班(BAC)3人の警官らしからぬ振る舞いがトラブルの元に (C)SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS <パリ郊外の犯罪多発地区を舞台にした『レ・ミゼラブル』は、フランス社会のさまざまな暗部をさらけ出す> 昨年5月のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、今年の米アカデミー賞国際長編映画賞の候補にもなった話題のフランス映画『レ・ミゼラブル』が日公開中だ。 パリ郊外のモンフェルメイユを管轄する警官と、黒人少年たちの確執を描くこの作品は、新鋭のラジ・リ監督の長編デビュー作(脚も担当)。舞台となったモンフェルメイユはビクトル・ユーゴーの小説『レ・ミゼラブル』の舞台の1つで、今は低所得層が多く住む、犯罪多発地区。監督自身が生まれ育ち、今も暮らしている街でもある。 映画には彼が実際に体験し、見聞きしてきた出来事

    話題作『レ・ミゼラブル』のラジ・リ監督が語るフランスの現実
  • トルコ軍がシリアに「ヒステリックな攻撃」を加えた理由とロシアの狙い

    <シリア・トルコの戦闘が激化。いっぽうトルコがヨーロッパとの国境を開放したことで、難民がギリシャに押し寄せている。この間、ロシアの狙いは......> トルコ軍がシリアに「ヒステリックな攻撃」を加えている──シリア政府支持者の言葉ではない。英国に拠点を置き、政府による市民への弾圧や爆撃を批判してきた反体制系NGOのシリア人権監視団の言葉だ。 シリア・ロシア軍は反体制派への攻撃にトルコが侵攻 今年1月に入って、シリア・ロシア軍は、反体制派最後の牙城とされるイドリブ県およびその周辺地域への攻撃を激化し、失地回復を進めてきた。攻撃は停戦監視を名目に展開していたトルコ軍にも及び、シリア軍との間で散発的な戦闘が発生するようになっていた。 2月27日、イドリブ県ザーウィヤ山に対するシリア軍の爆撃でトルコ軍兵士33人が死亡、32人が負傷するに至り、事態は一気に緊迫化した。トルコは、シリア政府による虐殺と

    トルコ軍がシリアに「ヒステリックな攻撃」を加えた理由とロシアの狙い
  • クイーンの現ボーカリスト、アダム・ランバートが70年代に回帰する理由

    アルバム発売、ソロツアーやクイーンとしてのツアーがめじろ押し(2月のニュージーランド公演) Dave Simpson-Wireimage/GETTY IMAGES <新作『ベルベット』はソウルフル――フレディ・マーキュリーの空白を埋める男の意外な路線> 1985年のことだ。クイーンの活動を一時中断していた故フレディ・マーキュリーは初のソロアルバム『Mr.バッド・ガイ』を出した。スタジアムの大観衆を熱狂させるロックとは異質な、ポップとディスコのサウンドだった。 あれから35年。フレディの後継者たるアダム・ランバート(38)が、近く4枚目のアルバム『ベルベット』を出す。その音楽性は、この男もまたフレディと同じ道をたどるのかと思わせるものだ。 ランバートは09年に人気オーディション番組『アメリカン・アイドル』で準優勝。デビューアルバムがチャート上位に入り、ブライアン・メイとロジャー・テイラーに招

    クイーンの現ボーカリスト、アダム・ランバートが70年代に回帰する理由
    AKIYOSHI
    AKIYOSHI 2020/03/01
    “「この数年で自分なりの成功の基準ができた。今回のアルバムでの判断基準はこうだ。これは本物か、自分はこれを愛せるか、これで自分は成長したか、の3つだ」”
  • コービーが生前に語った人生の喜び、ビジネスへのこだわり、そして家族への愛

    コービーは1月26日、乗っていたヘリコプターの事故で次女ジアナと共に亡くなった ILLUSTRATION BY ALEX FINE <米NBAのレジェンド、コービー・ブライアントは悲劇的な死の前に、自らの人生とキャリア、家族について語り尽くしていた> 1月26日、カリフォルニア州カラバサスでヘリコプターが墜落し、乗っていた9人全員が死亡。中にコービー・ブライアント(41)と次女ジアナ(13)も含まれていた――。 衝撃の訃報が届いて以来、コービーについては実に多くが語られてきた。言うまでもなく、彼はオールスターゲーム通算18回出場の伝説的なNBAプレーヤーであり、名門ロサンゼルス・レイカーズの顔でもあった。 しかし彼にはほかにも、さまざまな顔があった。脚を書きナレーターを務めた短編アニメーション『親愛なるバスケットボール』はアカデミー賞短編アニメ賞を受賞。児童書をプロデュースし、スポーツに

    コービーが生前に語った人生の喜び、ビジネスへのこだわり、そして家族への愛
  • アカデミー賞3冠!今週公開『1917』が「ワンカット」で捉えた戦争の恐怖

    『1917』はカット割りがないかのような撮影手法で、マッケイ演じるスコフィールド(中央)とブレイクの過酷なミッションを追う ©2019 UNIVERSAL PICTURES AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. ALL RIGHTS RESERVED. <サム・メンデス監督が第一次大戦を描いた『1917 命をかけた伝令』(日公開は2月14日)が、第92回アカデミー賞の撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門で受賞。全編を「ワンカット」に見せるためのトリックを随所に採用し、最高の映像テクニックで戦争を表現することに成功した> 第一次大戦は人類史上初めて「映像化」された戦争だ。この戦争が勃発した1914年当時は映画技術文化も黎明期にあり、目の前で展開される未曽有の「大戦」にどう向き合うかは、まだ手探りの状態だった。 まず実録のニュース映画が、外国での戦争

    アカデミー賞3冠!今週公開『1917』が「ワンカット」で捉えた戦争の恐怖
  • 「厳冬期」の中国映画業界、新型ウイルス感染拡大がとどめ刺す?

    中国映画産業は、厳しい検閲、脱税の取り締まり、政府による新たな規制が、この業界で働く人々の雇用機会を奪ってきた。写真は2018年4月、山東省青島の映画館で撮影(2020年 ロイター/Aly Song) 中国映画産業は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前からすでに「厳しい冬」と呼ばれる惨状を呈していた。厳しい検閲、脱税の取り締まり、政府による新たな規制が、この業界で働く人々の雇用機会を奪ってきた。 新型肺炎は、この惨めな状態に拍車をかけたに過ぎない。 感染拡大をい止めるため、中国全土の映画館は閉鎖され、大ヒットが期待されていた新作映画7が、春節(旧正月)休暇に予定していた封切りを延期、あるいは中止した。 春節連休入り前日の1月24日、政府が大勢の人が集まる催しを見送るよう警告して以来、中国映画興行収入は無きに等しい状態だ。業界団体は俳優らに、通知があるまで仕事に復帰しないよう要請

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  • ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

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  • 中国人コスプレイヤー、同人誌作家、買い物客はこんな人たち(コミケ97ルポ)

  • 【動画】NBAがコービー・ブライアントに捧げた唯一無二の追悼ジェスチャー

    Watch Kobe Bryant Tributes, From 'Kobe' Chants to the '24' Second Clock <レジェンドの不慮の死を知った直後のNBAの試合で、選手たちはブライアントのためだけのスペシャルな別れの告げ方をした> NBAの元スーパースター、コービー・ブライアント(41)が事故死した日、スポーツ界は偉大なアスリートの訃報を聞いて悲しみに沈んだ。 1月26日(日)の朝、ブライアントと娘のジアナ(13)が乗っていたヘリコプターがロサンゼルス郊外に墜落し、搭乗していた9人全員が死亡した。 同日午後、サンアントニオ・スパーズのホーム、テキサスのAT&Tセンターで行われたスパーズ対トロント・ラプターズ戦では、両チームが相談の上、試合開始のジャンプボールに勝ったほうは24秒ショットクロック(攻撃側のチームは24秒以内にリングにボールを当てなければならない

    【動画】NBAがコービー・ブライアントに捧げた唯一無二の追悼ジェスチャー
  • 『スター・ウォーズ』監督に聞いた、批判への心構え、ボツ脚本の感想、多様性の挑戦......

    <12月20日、ついに『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が公開される。監督が語るシリーズの魅力、ジョージ・ルーカスとの会議、そして脚流出事件――。> 記念すべき第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の公開は1977年。それから40年以上続いたシリーズの最終章となる『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が12月20日に日米同時公開される。 作の監督は、続3部作の1作目『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』も監督したJ・J・エイブラムズ。ファンの熱い期待が高まるなか、来日したエイブラムズに話を聞いた。 ――40年以上続いたシリーズの質にあるものは何だと考えているか。 僕が大好きな「スター・ウォーズ」シリーズの精神っていうのは、生き生きとして感動的で、ロマンティックで、おかしな冒険。同時に、希望と可能性を秘めているということだ。それは今の時代に、ますます必

    『スター・ウォーズ』監督に聞いた、批判への心構え、ボツ脚本の感想、多様性の挑戦......
  • プロレスで夢をかなえた家族の絆『ファイティング・ファミリー』

    レスリングジムを営む家族の夢を果たすためにサラヤ(ピュー、中央)はWWEの晴れ舞台を目指す ©2019 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC., WWE STUDIOS FINANCE CORP. AND FILM4, A DIVISION OF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED. <WWEで成功した英国出身の実在のスター、ペイジと熱くて愉快な家族を描いた話題作> およそプロレスとは無縁のスティーブン・マーチャントがプロレス映画『ファイティング・ファミリー』の脚と監督を引き受けたのは、人気俳優で元プロレスラーのドウェイン・ジョンソン(リング名はザ・ロック)に迫られたから。そして女子プロ界の女王ペイジ(昨年引退)とその家族のドキュメンタリー(2012年)に心を動かされたからだ。 「以

    プロレスで夢をかなえた家族の絆『ファイティング・ファミリー』
  • ローマ教皇「日本は難民を受け入れて」発言が大炎上したけど

    <これを機に、単純なYESでもNOでもない、議論を深める思考法を試してみない?> Q:世界の難民を見捨てるつもりですか? 僕はこんな質問をしない。バイアス込みの聞き方で、感情論になってしまうから。でも、例えば誰かに聞かれたとき、日のみなさんは「はい! 見捨てます!」と答えるのだろうか。 11月下旬に訪日したローマ教皇がミサに先立ち、教会でのイベントに出席して「友情の手を広げてひどくつらい目に遭って、みなさんの国に避難してきた人々を受け入れること」をお願いしたとき、ツイッターは教皇バッシングで炎上した。「ムリムリ!」「カトリックの国々に言え!」などの内容のツイートが殺到し、多くの「いいね」を稼いでいた。「お前は教皇だが、こちらも強硬だぜ!」というノリだった。 この拒絶反応はワシントン・ポスト紙に取り上げられ、海外でも話題になった。少数派の意見かもしれないが、これが世界の持つ日の印象になり

    ローマ教皇「日本は難民を受け入れて」発言が大炎上したけど
  • 「スコットランド独立」は得策か

    British Election Impact: If UK Leaves Europe Could Scotland Depart UK? <先の英総選挙で追い風を受けたスコットランド独立派だが、独立後の展望は彼らが信じるほど明るくはない?> 12月12日の英総選挙で躍進したスコットランド民族党(SNP)の二コラ・スタージョン党首が、スコットランド独立の是非を問う2度目の住民投票の実施を要求している。 SNPは今回、スコットランドの全59議席のうち、2017年の総選挙から11議席増の47議席を獲得。スタージョンは、SNPの勝利は住民投票を求める「有権者の新たな、力強い負託」に等しいと主張した。スコットランドでは2014年にも独立の是非を問う住民投票が実施されているが、この時は賛成44.7%、反対55.3%で独立が否決された。 ボリス・ジョンソン英首相は今回の選挙の直後にスタージョンと話を

    「スコットランド独立」は得策か
  • 英総選挙、どっちつかずより「とっとと離脱」を選んだイギリスは大丈夫か

    「ブレグジットをやっちまえ(Get Brexit Done)」というジョンソンの訴えがイギリス人に響いた(12月11日) Hannah McKay−REUTERS <イギリス人は3年前の国民投票でEU離脱を選択してしまったことを後悔していると思ったが、フタを開ければ、強硬離脱派のジョンソンが歴史的大勝を収め、再度の国民投票を提示した労働党は大敗した。一体何が起こったのか> イギリスで12日、下院(定数650)総選挙が行われ、ボリス・ジョンソン氏が率いる保守党が単独過半数を超える365議席を獲得して、圧勝した。ここまでの議席数は、1987年のマーガレット・サッチャー首相以来。今年7月末の首相就任時には「イギリスを壊す男」とも言われたジョンソン氏はなぜ勝てたのか。 一方、社会主義的政策で若者層を中心に人気を得ていた労働党のジェレミー・コービン党首。世論調査では保守党との差を当初の20ポイントか

    英総選挙、どっちつかずより「とっとと離脱」を選んだイギリスは大丈夫か
  • イギリスの半数はEU離脱を望んでいないのに、なぜジョンソンが大勝したのか

    保守党を大勝に導いたのはジョンソン首相の剛腕なのか?(12月14日、支持者に演説) Lindsey Parnaby/REUTERS <2016年の国民投票のとき、残留支持は48%にのぼった。今では残留のほうが離脱より優勢だ。それなのに、ジョンソン首相率いる保守党の圧勝によって離脱が不可避になった。悲劇は日でも起こり得る> 12月12日に行われたイギリス総選挙の最終結果が発表された。 保守党 365議席(+47) 労働党 203議席(-59) 保守党の圧勝である。余裕で過半数の326議席を超えた。労働党の約1.8倍の議席となっている。 3年半前の国民投票では、約48%の人がEU残留を支持した。選挙直前の12月7日のDeltapollsの世論調査によると、再国民投票があった場合の投票は、残留が45%、離脱が39%、わからないが16%だった(ただし、「再国民投票を望むか」という質問では、望まな

    イギリスの半数はEU離脱を望んでいないのに、なぜジョンソンが大勝したのか
  • 「平和は目的でなく、結果でしかない」──21世紀に生きる私たちへの中村哲医師のメッセージ

    <アフガニスタンのイスラム教徒のために命がけで活動してくれた中村哲医師の言葉を今こそ心に刻みたい> 誠に悲痛な出来事である。アフガニスタンで活動する中村哲さんの訃報が伝えられて、何だか悲しくて悔しくてたまらない。同時に、同胞であるイスラム教徒のアフガニスタン人や、困窮を強いられている人々のために何もしてやれなかった自分が恥ずかしくて情けない。理屈ではなく義理と人情の人だった中村医師。見知らぬ土地や人々のために命がけで人生を捧げてきた中村先生のまっすぐな生き様と、その姿は眩しいほど神々しい。 「そこに住んでいる人たちと良い信頼関係があること。これが武器よりも一番大切なことだと思うんですよね」と語っていた中村医師。暴力や衝突などが絶えないこの世の中でも、絆や信頼関係が築く小さな平和を噛みしめ、その意味について問い続けていた。そして、その答えに出会った場所は意外にも世界に見捨てられたアフガンの地

    「平和は目的でなく、結果でしかない」──21世紀に生きる私たちへの中村哲医師のメッセージ
  • 『わたしは、ダニエル・ブレイク』監督の新作、英国社会の底辺の現実

    イギリス社会の底辺の現実が掘り下げる.....『家族を想うとき』 photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019 <『わたしは、ダニエル・ブレイク』のケン・ローチ監督が、前作と同じニューカッスルを舞台に、異なる視点からイギリス社会の底辺の現実を掘り下げる......> 以前コラムで取り上げた『わたしは、ダニエル・ブレイク』につづくケン・ローチ監督の新作『家族を想うとき』では、前作と同じニューカッスルを舞台に、異なる視点からイギリス社会の底辺の現実が掘り下げられる。 個人事業の宅配ドライバーとパートタイム訪問介護士の その物語は、宅配ドライバーとして独立することを決意したリッキーが、部の責任者マロニーからオーナー制度の説明を受け、フランチャイズ契約を結ぶところから始まる。彼は、部の車を借りるより買った方が得だと判断するが、借金を抱えているため、パートタイ

    『わたしは、ダニエル・ブレイク』監督の新作、英国社会の底辺の現実
    AKIYOSHI
    AKIYOSHI 2019/12/14
    キーワードになるのが、「個別化」だ。リッキーやアビーが従事しているのは、他者との接点を排除していくような個別化された仕事であり、そこではこれまでの産業にあったような連帯感や尊厳を得ることができな