Diggなどを見ると、大統領はオバマに決まりで、金融危機対策は「金融の社会主義化」だという意見で埋め尽くされている。政府を信用しないのはアメリカの健全な伝統だが、景気後退が深刻になってもbailoutに反対するのは、大恐慌のときフーバー政権がとった清算主義とよく似ている。日本でも昭和初期に、銀行の倒産を「不良企業を整理する好機」として放置したことが金融恐慌をまねいた。 こうした清算主義はケインズが「古典派経済学」の欠陥として指弾したもので、Krugmanのようにシュンペーターやハイエクなどのオーストリア学派をその典型としてこきおろすのがお約束だ。日本でもこれを受け売りして、「小泉政権の不良債権処理は清算主義だ」と批判する自称エコノミストが一部にいたが、彼らの元祖バーナンキ自身が不良債権処理を急いでいることでもわかるように、負債の清算こそ最優先の政策なのである。 ハイエクの1930年代の