残りは細かい話。 案75条は国務大臣の不訴追特権について定めたものであるが、現75条但書の「これがため、訴追の権利は、害されない。」という(確かに多少わかりにくい)部分を「国務大臣でなくなった後に、公訴を提起することを妨げない。」と改めているところ、これは意味が不明確になっている。つまり現行条文は不訴追特権によって訴追権が不利益を受けてはいけないので、在任期間中は公訴時効が停止すると解されている。被疑者の国外逃亡の場合などと同じ扱い。 ところが改正案ではこの趣旨が明確でない。公訴提起を「妨げない」だけであるから、在任中も公訴時効が進行し、退任時にまだ公訴権が残っていれば(不訴追特権が消滅したので当然に)訴追可能だが、消滅していれば訴追できないとも読める。改正案でわざわざバグの種をこしらえた可能性が高い。 * * * 案65条で、行政権について「この憲法に特別の定めのある場合を除き」という文