実質的にオーナー経営だから、このような大胆な決定ができるのだろうか。「代ゼミ」こと代々木ゼミナールが、全国27校中20校舎を一気に閉鎖し、講師を中心に約400人の希望退職を募るという発表があった時、驚くのと同時に感心した。上場企業のサラリーマン経営者だと、これだけ思い切った手が打てる人はほとんどいないのではないか。 予備校としての代々木ゼミナールは、明白な需要の縮小に直面していた。少子化に伴う大学受験生の減少に加えて、受験生の現役志向の強化、さらに、推薦入学やAO入試(アドミッション・オフィス入試。いわゆる「一芸入試」を含む)など、大学側の選考方法で一般入試の比率が低下することにより、予備校にとって最も上客である浪人生が減った。 推薦、AOの増加は、安定的に学生を確保しようとする大学の経営姿勢から生じた傾向だろう。その背景として、少子化があるという理解は可能だ。しかし、学生の就職先である企