<中国は南シナ海上空の防空識別圏の設定を米軍への対抗策として示唆するが、実際のメリットは領有権主張の意思表示くらいしかない> 中国が南シナ海上空にADIZ(防空識別圏)を設定する準備をしている――香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストが先週、そう報じた。ADIZとは、各国が領空とは別に定める空域で、事前通告なしに侵入してきた航空機に対し、戦闘機の緊急発進(スクランブル)などを行って警告できる。中国は13年に東シナ海に設置し、日本との緊張が高まった。 記事で引用された中国軍の情報筋の話では、ADIZの設置は南シナ海における米軍の「挑発的な動き」への対抗策だという(米政府は海軍による「航行の自由作戦」や空軍による偵察飛行で中国を牽制している)。 このニュースは南シナ海での領有権を主張する関係諸国にとって微妙なタイミングで報じられた。領有権をめぐりフィリピンが中国を提訴している問題について
![中国は南シナ海にも防空識別圏を設定するのか](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e4b1edeff406b0de11274275f7c61dd3abecf3a0/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.newsweekjapan.jp%2Fstories%2Fassets_c%2F2016%2F06%2Fmagw160614-thumb-720x492-93608.jpg)