『柔らかい土をふんで、』を読んで、私は去年すでに数回も味わってしまった挫折を今年に入ってまだ一時間というところでまた味わいました。(深い読みができるようになったのに反し、読書への集中力や持続性が失われてしまっていることに早くも老いを感じてしまっているのですが、どうにか読み継いで最後のページをめくったのが新年に入ってすぐだったのです。) 挫折というのは、この場合、この本は難しすぎてとても読めたものではないと投げ出すことなのですが、最後まで読み通してなお、この本は難しすぎて読めた気がしないと思わせるのですから挫折の中でもとびきりです。 難しいというのは本当ですが、それよりもまず分からないという言葉が先に出てきます。 文章が難解というよりは私の読解力に難があるためか(ハイ、そのためなんですが)、そもそも語り手がどのような存在か断定できずに読んでいたというていたらくでした。 語り手は神の視点から語