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ブックマーク / blog.tatsuru.com (337)

  • 大阪万博という幻想 - 内田樹の研究室

    2025年の国際博覧会の開催都市がもうすぐ決まる。 大阪の他に、アゼルバイジャンのバクー、ロシアのエカテリンブルクが立候補しており、聞くところでは、三都市の競争は「横一線」だそうである。 大阪府知事、大阪市長は世界に向けてのPR活動に熱心だが、国内では招致機運が盛り上がらない。 間近に迫った2020年の東京五輪に対してさえ市民の間に熱い待望の気持は感じられないのだから、そのさらに5年後では気合が入らないのも当然だろう。五輪にしても万博にしても、半世紀前の1964年の東京五輪、1970年の大阪万博の時の国民的な高揚感とそれにドライブされた劇的な社会改造を記憶している世代から見ると、今の日の冷え方はまるで別の国のようである。 今回の万博に国民的関心が高まらない最大の理由は、にべもない言い方をすれば、大阪で万博を開く必然性がないからである。 公式サイトにはこんなことが書いてある。 「万博とは世

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    D-S-C-H 2018/11/18
  • 外国語学習について - 内田樹の研究室

    2018年6月12日に「文系教科研究会」というところで、私立の中学高校の英語の先生たちをお相手に英語教育についてお話した。その一部をここに掲載する。 ここで論じたのは英語だけれど、言語教育一般について適用できる議論だと思う。 ここ数日、「論理国語」と「文学国語」というカテゴライズをするという話がTLを飛び交っているけれど、それがほんとうだとしたら、それはたぶん言語というものについて一度も真剣に思量したことのない人間の脳裏に去来したアイディアだろうと思う。それはまさに「植民地における現地人への宗主国言語教育」とまったく同型的なものだからだ。 国語教育においても「植民地現地人」に求められる言語能力は同じである。 それは宗主国アメリカに仕え、アメリカに朝貢することで「代官」「買弁」としての地位を保全している日の支配層たちが、同国人の知性の発達を阻害し、日人を愚民化することで、属国日をアメリ

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    D-S-C-H 2018/11/02
  • 光嶋裕介君の建築について - 内田樹の研究室

    光嶋裕介君の新著『ぼくらの家。』(世界文化社)の即売会と短いトークセッションが凱風館で昨夜、寺子屋ゼミのあとに行われた。ミシマ社も出店して、ゼミ生を中心に20人近くの聴衆が集まってくれた。 光嶋君が著作の意図を説明してくれた後に、僕が短いコメントをした。 その時に、以前、山浩二画伯から展覧会用の解説を頼まれたことがあったので、その話をした。 僕は美術については門外漢だから、山君の画業について専門的な見地から批評をすることはできない。彼の美術史的な系譜も知らないし、同時代の画家たちの中のどこに位置して、美術批評家たちからどういう評価を受けているかも何も知らなかった。僕にできるのは、山君の絵を何点か所有していて、その絵を壁にかけて暮らしている僕にとって、山君の絵が具体的にどういうふうに身体的な影響をもたらすものであるかを報告することだけだった。それについて書いた。少し長いけれど、再録し

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    D-S-C-H 2018/11/02
  • 「新潮45」休刊について - 内田樹の研究室

    毎月ある地方紙にエッセイを連載している。今月は「新潮45」休刊について。 すでに二度欄で触れたけれど、その総括のようなもの。 「新潮45」が休刊になった。社告によれば、「部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていた」結果、「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」を掲載してしまったことについて「深い反省の思いを込めて」の休刊である。 海外メディアもこの事件を取り上げた。英紙『ガーディアン』は発端を作った杉田水脈衆院議員をこう紹介している。 「安倍晋三首相の同盟者である杉田はまだ記事について公式には謝罪を行っていない。安倍は先週、『彼女はまだ若い』のだから、辞職圧力は加えていないと述べた。杉田は51歳である。(...)彼女は第二次大戦前、戦中の日兵による性奴隷利用を韓国の捏造だと主張してきた人物である。」

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    D-S-C-H 2018/10/23
  • 夏時間について - 内田樹の研究室

    8月末に「サンデー毎日」に夏時間についての原稿を寄せた。 今朝の毎日新聞によると、さいわい五輪前の夏時間導入は各界からの反対によって、見送りになったようである。 よかった。 というわけで夏時間導入反対の論は速報性を失ってしまったけれど、せっかく書いたことなので、「歴史的文献」としてご笑覧を請うのである。 ここから↓ 東京五輪組織委員会が「酷暑」問題で追い詰められて、迷走している。 開催は2020年の7月24日から8月9日までの17日間。今年の同時期の東京の暑さは尋常なものではなかった。23区内の熱中症による死者数は120人に達した。この時期に炎天下で運動競技を行うことがアスリートの健康によいはずがないことは誰にもわかる。最も心配されるのがマラソンで、朝7時スタートを予定していたが、今年はその時間ですでに30度を超す日があった。 五輪期間中の暑さ対策としてこれまで提案されたのは「打ち水、浴衣

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    D-S-C-H 2018/09/28
  • 編集者への手紙(その2) - 内田樹の研究室

    おはようございます。内田樹です。 メールありがとうございます。 こんどの事件がきっかけになって、編集者たちが自分たちの出しているものの社会的な意味を点検し、その結果新潮社の出版物のクオリティが高いものになるようになれば、豊かな教訓になったと思います。 私見によれば。今回の事件の最も深刻な点は、問題を起こしたのが「総理とりまき」の人物たちだったということです。 彼らは5年余にわたる安倍政権下で、「どれほど非道なことを言っても罰されない」という特権を享受していると思い込んで、あのような暴言を発するに至りました。 非常識な意見、狭隘な偏見をあえて口に出す言論人は他にもいますが、多くは「マジョリティに理解されず、嫌われ、孤立するリスク」を代償にしてそうしています。 今回問題を起こした書き手たちは、リスクを取る気がないどころか、自分たちが「リスクを冒している」という警戒心さえなく、あのような文章を発

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    D-S-C-H 2018/09/28
  • ある編集者への手紙 - 内田樹の研究室

    はじめまして、内田樹です。 メールありがとうございます。 新潮社の友人たちからいろいろと内情は伺っております。 「新潮45」にも三重さんが編集長をしているころは何度か寄稿させて頂きましたので、愛着のある雑誌です。休刊ということになったのは僕も残念です。 このような事態に立ち至った責任はもちろん編集者にあります。 このような局面で、ほんらいならば公的なかたちで、その執筆意図について説明責任を果たし、批判に対して反論するなり、あるいは事実誤認について謝罪するなりして、「新潮45」とともに批判の前面に立つべきときにそれを怠って雲隠れするような人物に寄稿を依頼し、あまつさえ擁護の論陣を張ったという編集者の判断の致命的なミスの「つけ」を新潮社が払ったということだと思います。 出版の社会的使命は何か、それぞれの媒体はどのようなメッセージを、どのような文体において発信すべきか、その企図をどのような人物に

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    D-S-C-H 2018/09/27
  • 言論の自由について - 内田樹の研究室

    以前にもブログに掲載した旧稿だけれど、『新潮45』の休刊という事件を迎えて、改めて「言論の自由」についての私見を明らかにしておきたいと思って再録。 かつてマスメディアが言論の場を実効支配していた時代があった。讀賣新聞1400万部、朝日新聞800万部、「紅白歌合戦」の視聴率が80%だった時代の話である。 その頃の日人は子どもも大人も、男も女も、知識人も労働者も、「だいたい同じような情報」を共有することができた。政治的意見にしても、朝日から産経まで、どれかの新聞の社説を「口真似する」というかたちで自分の意見を表明することができた。それらのセンテンスはほぼ同じ構文で書かれ、ほぼ同じ語彙を共有しており、ほぼ同じ論理に従い、未来予測や事実評価にずれはあっても、事実関係そのものを争うことはまずなかった。それだけ言説統制が強かったというふうにも言えるし、それだけ対話的環境が整っていたとも言える。 もの

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    D-S-C-H 2018/09/27
  • エネルギー政策について - 内田樹の研究室

    北海道の地震で全域で停電が起きた。停電の発端となったのは苫東厚真火力発電所。地震で停止した時点で、供給力の半分以上を一気に失った。需給のバランスが崩れ、その影響がほかの発電所にも及んで停止したとニュースにはある。 どうしてこんな脆弱なシステムを設計したのか、素人が考えてもよくわからない。 誰も説明してくれないので、自分で考えた。 「どうして原発に依存するのか」について3・11の直後に書いた文章が『街場の読書論』にあったので、それを再録する。 今でも考え方は変わらない。 加子母の奧の渡合温泉(「どあい」と読んでください)の宿のランプの灯りの下で、中島社長は岩魚の骨酒を呷りながら、「もう電気は要らない」と呟いた。 私は岩魚の刺身と岩魚の煮付けと岩魚の塩焼きを貪り喰いながら、社長のその言葉を聞いて、半世紀ほど前に読んだフレドリック・ブラウンの『電獣ヴァベリ』を思い出した(『電獣ヴァヴェリ』は「S

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    D-S-C-H 2018/09/07
  • 『細雪』解説 - 内田樹の研究室

    以前谷崎潤一郎の『細雪』の角川文庫が改版されるときに解説を書いたことがある。 安田登一座の『イナンナの冥界下り』の凱風館公演を見て、その時に書いた「存在しないもの」だけが文化的な差異を超えて共有されうるというアイディアを思い出したので再録しておく。 音楽雑誌ではときどき「無人島レコード」というアンケート企画を行う。「無人島に一枚だけレコードを持っていってよいと言われたら何を選ぶか」という究極の選択である(私も一度このアンケートに回答したことがある)。 無人島レコードの条件は「何百回、何千回繰り返し聴いても飽きず、つねに高い水準の悦楽をもたらすこと」である。難しい条件だ。そのときはずいぶん悩んでアンケートに回答したことを覚えている。しばらくして、アンケート結果が掲載された雑誌が届いたときに、他の回答者はどんな音源を選んだのか気になってぱらぱらと頁をめくった。すると大瀧詠一さん(この人をどうい

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    D-S-C-H 2018/08/22
  • 『若者よマルクスを読もう4』まえがき - 内田樹の研究室

    9月にかもがわ出版から石川康宏先生との共著『若マル4』が出る。中身は『フランスの内乱』についての往復書簡と、「マルクスとアメリカ」連続講義、それから新華社からのアンケートにふたりが回答したものなど。販促のために予告編とて「まえがき」を掲載しておく。 みなさん、こんにちは。内田樹です。 『若者よマルクスを読もう』も番外編の『マルクスの心を聴く旅』を含めて、巻を重ねること4巻目となりました。ここまで続くとはほんとうにびっくりです。ご愛読くださった読者のみなさんと編集の松竹伸幸さんに深く感謝いたします。 たしかにこれは「『共産党宣言』から『資論』まで、マルクスの全著作を俯瞰するようなかたちで、中学生、高校生にも読めるマルクス入門のためのを書こう」という壮図をもって始まった企画でした。口ではそういう壮大なプランを語りながらも、心の中ではなんとなく「途中で挫折するんじゃないかな・・・」と思ってお

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    D-S-C-H 2018/08/15
  • 『知日』明治維新特集のアンケートへの回答 - 内田樹の研究室

    中国で出ている『知日』という日についての専門誌がある。なかなかよく売れているらしい。 次の号が「明治維新特集」ということで、私のところに次のようなアンケートが来た。 日近代史の専門家に聞けばいいと思うような質問だけれど、せっかくなので知る限りのことをお答えした。 素人考えなので、専門家から見て「それはあきらかに間違い」という点があれば、ご叱正を請う。 1.黒船来航は明治維新の始まりと見られています。どうしてアメリカは黒船4隻だけで、鎖国200年以上の日の国門を簡単に開けたのか?中国人は国門を開くアヘン戦争に対する屈辱と違って、日人は黒船来航に対する感情は積極的な方が多いと感じられます。それについての記念活動も多い、それはなぜでしょうか? 最初にお断りしておきますけれど、私は近代史の専門家ではありませんし、明治維新に特に詳しいわけでもありません。私がこれから答えるのは、あくまで非専門

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    D-S-C-H 2018/08/11
  • 愛国的リバタリアンという怪物 - 内田樹の研究室

    これは2017年の6月に劇団態変の金満里さんの求めに応じて寄稿した一文である。 杉田水脈発言から「社会的弱者は殺してもいい」と言って19人を殺害した植松聖に言及する人が多かったので、旧稿を筐底から引き出して諸賢のご批判を請うことにした。 相模原の大量殺人事件のもたらした最大の衝撃は、植松聖容疑者が事前に安倍晋三首相宛てと大島理森衆院議長宛てに犯行を予告する内容の書簡を届けていたことにある。 それは単に権力者を挑発するための犯行予告ではなく、自分の行為が政権と国会多数派には「好ましい」ものとして受け止められ、権力からの同意と保護を得られるだろうという期待をこめたものだった。逮捕後も容疑者は「権力者に守られているので、自分は死刑にはならない」という趣旨の発言をしている。 もちろん、これは容疑者の妄想に過ぎない。けれども、何の現実的根拠もない妄想ではない。彼の妄想形成を強化するような現実が今の日

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    D-S-C-H 2018/08/04
  • 揺らぐ戦後国際秩序 - 内田樹の研究室

    今朝の毎日新聞の「論点」は「揺らぐ戦後国際秩序」というタイトルで、海外の二人の論者によるドナルド・トランプの保護貿易主義批判の論を掲載していた。 ひとりは国際政治学者のフランシス・フクヤマ、一人はWTO(世界貿易機関)前事務局長のパスカル・ラミー。 ふたりともトランプが戦後国際秩序の紊乱者であるという評価では一致している。 「米国は過去50年にわたって、自由主義に基づく国際秩序を作り出し、それを支えてきた。今、それをおびやかしている最大の脅威はトランプ米大統領だ。」(フクヤマ) 「トランプ米大統領が仕掛ける今回のような『貿易戦争』は前例がない。(...)トランプ氏はシステムを揺さぶることで事態を変えられると思い、『良い結果を得るには交渉のテーブルは2人(2国)でなければならない』と考えている。保護主義で相手を脅し、その撤回を求めてワシントンに来る人たちからどんな見返りを手にできるかを計算す

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    D-S-C-H 2018/08/02
  • 高校生へひとこと - 内田樹の研究室

    ある高校から40周年記念冊子のためのコメントを求められた。 以前に一度講演に行ったことがあるので、そのご縁である。 なかなか気合の入った高校生たちだった記憶があるので、ひとことコメントを寄せた。 40周年おめでとうございます。 ここまでの40年とこれからの40年では、世界の様相の変化のスピードがずいぶん違うはずです。 これからはかつてなかったほどの速度で世の中が変わってゆく。それに適切に対応しないと、生き延びることができない。 みなさんには、その覚悟を持って、新しい時代に臨んでほしいと思います。 いつの時代でも、新しいテクノロジーの登場はそれまでの産業構造を一変させます。でも、産業革命から後でも、新しいテクノロジーの出現から産業構造の全面的な改造までのあいだには、ある程度のタイムラグがありました。 電気の登場からその商業的利用までには46年かかりました。電話は発明されてから35年、ラジオは

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    D-S-C-H 2018/07/31
  • 「天皇主義者」宣言について聞く――統治のための擬制と犠牲 - 内田樹の研究室

    『福音と世界』8月号に天皇制についてのインタビューが掲載された。 キリスト教系の月刊誌なので、当然天皇制については批判的である。そこにレヴィナスの時間論を連載しているわけなので、「天皇主義者」を名乗った真意はいずくにありやということでロングインタビューを受けることになった。かなり手厳しく問われたけれど、これくらい攻めてもらった方が僕の真意は伝わりやすいかもしれないと思う。 以下文 2016年8月、平成天皇はいわゆる「おことば」を発表し、高齢のため「象徴天皇」としての務めを担うことが難しくなっている旨を述べた。これを受けて誌で「レヴィナスの時間論」を連載中の内田樹氏(武道家、哲学者)は、この「おことば」が「象徴天皇」の役割をはっきりと述べた画期的なものであると高く評価し、現在の日で象徴天皇制は「統治システム」として非常によく機能していると考えるに至った、と表明した(「私が天皇主義者にな

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    D-S-C-H 2018/07/22
  • 死刑について (内田樹の研究室)

    オウム真理教の死刑囚たち 7 人が死刑執行された。 解説記事を読むと、改元や五輪の日程に合わせて「このタイミングしかない」ということで執行されたと書いてあった。 死刑については、いくつものレベルの問題があり、軽々に適否を論じることはできない。 「国家が人を殺す死刑という制度そのものの存否」にかかわる原理的な問いがあり、「死刑は犯罪の予防に有効なのか」という統計的な問いがあり、「被害者遺族の怒りや悲しみはどうすれば癒されるのか」という感情の問題があり、それらが入り組んでいる。 死刑の存否について、「どちらか」に与して、断定的に語る人を私はどうしても信用することができない。 死刑は人類の歴史が始まってからずっと人間に取り憑いている「難問」だからである。 世の中には、答えを出して「一件落着」するよりも、「これは答えることの難しい問いである」とアンダーラインを引いて、ペンディングにしておくことの方

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    D-S-C-H 2018/07/08
  • 家庭科教育について - 内田樹の研究室

    家庭科教育学会というところから講演を頼まれた。 家庭科教育というのはきっと今日の学校教育のなかでは「冷や飯をわされている」のだろうなと想像した(現実はどうなのかよく知らないけれど、「スーパーグローバル」とかいうような看板を欲しがる中高一貫校で家庭科の先生の発言が優先的に傾聴されるということは考えにくい)。 でも、家庭科というのは、とても大切な教科だと私は思う。 だから、二つ返事で引き受けた。 学会では「皆さんのなされている教育は子どもたちの『生きる知恵と力』を高めるためには必須のものです」とエールを送るつもりでいた。 でも、数十年ぶりの大雨で西日の鉄道ダイヤが大幅に乱れ、JRからも「鉄道旅行を見合わせるように」と勧告があったので、今回は学会出席を断念した。 欠席の知らせをしたら、座長の先生から「メッセージを代読するから、何か書いて送って欲しい」と頼まれたので、話すつもりだったことの

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    D-S-C-H 2018/07/08
  • 大学の株式会社化について - 内田樹の研究室

    科学技術白書がようやく日の学術的発信力の低下を認めた。 それについて『サンデー毎日』に所見を寄稿した。もう2週間前なので、採録。 先日発表された科学技術白書がようやく「わが国の国際的な地位の趨勢は低下していると言わざるを得ない」ことを認めた。 「引用回数の多い論文の国際比較で日は10年前の4位から9位に転落した。論文数も減って2位から4位になったが、4倍に増えた中国はじめ主要国は軒並み増加している。」(毎日新聞、6月14日) 各国の政府の科学技術関係予算の伸び具合を00年と比べると、中国が13.48倍(2016年)、韓国が5.1倍(同)、日は1.15倍(2018年)。博士課程への進学者はピークの03年度を100とすると2016年度は83。海外派遣研究者の数も00年を100とすると2015年度で57にまで減った。注目度の高い研究分野への参画度合い(14年)では、米国91%、英国63%、

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    D-S-C-H 2018/07/07
  • 家庭科について (内田樹の研究室)

    7月7日に日家庭科教育学会というところで「家庭科のたいせつさ」についての講演とシンポジウムに出るはずだったけれど、大雨のせいで交通が乱れたので、学会にゆくのを諦めた。 こんな話をする予定だったので、抄録だけ。 僕が家庭科がだいじだと思ったわけ 子どもが6歳のときから18歳の時まで父子家庭だった。その間にはよく家事をした。 父子家庭という大義名分があったので、日々エプロンをして楽しく働いた。でも、そのうち、娘が家を出て、一人暮らしになったら、ぱたりと家事を止めてしまった。手の込んだ料理も作らないし、縫物をすることも間遠になった。 能を稽古しているので、紋付の半襟を縫い付けるくらいのことはたまにやるけれど、どうせ自分の着物だと思っているせいで仕事がぞんざいになる。とても娘の体操着に名札を縫い付けた時の集中力には及ばない。 私は家事仕事が好きだし、けっこう得意だけれど、いつでも時間を忘れて熱中

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    D-S-C-H 2018/07/07